リフレッシュの時間

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『アジャストメント』

最後にブログに記事を書いてから早1ヶ月が経ってしまった。その間に見た映画と行った美術展が溜まってます。全部は書けないかなぁ。印象に残っているものから順番に書こう。
 
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原題:THE ADJUSTMENT BUREAU  製作年度:2011年 製作国:アメリカ 上映時間:106分
監督・脚本:ジョージ・ノルフィ 原作:フィリップ・K・ディック
出演:マット・デイモンエミリー・ブラントアンソニー・マッキージョン・スラッテリーマイケル・ケリー
 
この映画、この記事を書く段階で、書庫のどのジャンルに入れたらよいか迷いました。迷ったのは、ミステリーかファンタジーか・・・。迷ったあげく、ファンタジーに入れました。マット・デイモンが走っている図といえば『ボーン・シリーズ』で、確かにこの映画の中でも走っているし、そしてこの映画のタイトルを見ると、アクション映画かという先入観を抱きそうですが、アクションではありません。
 
何を何の目的でアジャスト(調整)するのか・・・それがこの映画のテーマなのですが、問いかけとしてはなかなか面白かったです。ストーリーが始まってまもなくして、まず、何がアジャストされているのかという答えを見せてくれますが、それが、マット・デイモンの周囲すべてなのです。つまり、マット・デイモン演じる政治家志望の会社役員デヴィッド・ノリスの周りの人々、出来事、彼の周囲のとにかくすべて(!)が、なぞの人物らに調整されているのです。
 
調整している彼ら(天使みたいな存在)もその「調整」が仕事で、それぞれが手にしているノリスの運命の地図の指示に従って動いているだけ。そこに彼らの意思はなく、ノリスの問いかけにも上からの指令で動いているのみだと答えるだけ。
そもそも、普通の状態なら、このアジャストメントされている状態にも気づかないのだが、ノリスは運悪くも偶然や過去の強い引力などが重なり、アジャストメントされているという現実には見えていない裏の世界を知ってしまうことになったのです。
 
ノリスの人生を運命の地図どおりに進ませようとする天使たちと、それに逆らおうとするノリス。
はたして最後にノリスが歩む人生は、どっちの意志による道なのか。
 


こういう運命論については、昔にも考えたことがあったけど、すべてが決まっていると思うとなににつけてもヤル気が失せてしまいそうなので、そうではないと信じて普段生活しています。でも実際にはどうなのだろう。

 
この映画の中では、携帯電話の電波がふと不具合になることや、ふとコーヒーをこぼしてしまうことにもその調整が加えられたものとして描かれていて、人の導かれる道にちょっとした波動を加えることで、その目的としている将来への道から逸れないようにするためのものでした。
 
重要なのは、その「目的」であって、それがその人それぞれの意志や理想としているものであればよいのですが、そうではなくすでに「定められたもの」というところです。
人は、あれもほしいこれもほしいと思うもの・・・ノリスも例外ではなく、政治家としての道だけでなく、恋愛などすべてを自分の思い通りにしたいと思っています。これは人として当然のことでしょう。それを阻むのではなく、その希望のうち重要なもの、もしくは社会として世界として重要な役目を果たすために、「調整」が行われているというわけです。
 
彼らの言い分としては、その「調整」が行われないと、第二次世界大戦のように世界戦争が起きたり、中世の暗黒時代が生じたそうです。その結果、「調整」をすることによりルネサンスを起こさせ文明を新たなものに開花させたり、世界大戦後には再び「調整」をするととして今のとりあえずは核戦争を起こしていないかろうじて平和な状態を築いているとのことでした。そうしないと、人は破滅に向かう一方ということですね。
 
どうかなぁ~。この最後の下りで、私としてはこの映画をファンタジーと位置付けました。実際にはどうかわからないですが、でも、現実は違うと思いますから。天使たちもいるかもしれないけど、やっぱりいないと思っています。
 


話は変わりますが、この映画のマット・デイモンの恋人役として登場していた彼女、どこかで見たことあると思っていたら『プラダを着た悪魔』の主人公のライバル役の女優でした。エミリー・ブラントたまたまこの次に見た映画にも姫役として登場していました。化粧だけでずいぶん変わるものですね。『プラダを着た悪魔』のときとは違う人物のように見えましたよ。