リフレッシュの時間

自分の思いつくままに、好きなことを書いています

『善き人のためのソナタ』

年に最も忙しい繁忙期を終えたと同時に、風邪を引きました・・・。昨日一日寝込み、今日は声は出ないものの体を起こせるので、ブログが書けます。久しぶりに重い風邪だわー、明日には声が出るようになってほしい。
 
この映画は感動ものでした。タイトルとこのポスターから、ベートーベンのソナタを聴くストーリーだと思っていた。
 
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原題:DAS LEBEN DER ANDEREN / THE LIVES OF OTHERS  
製作年度:2006年 製作国:ドイツ 上映時間:138分
監督・脚本:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演:ウルリッヒ・ミューエ、マルティナ・ゲデックセバスチャン・コッホウルリッヒ・トゥクール、
    トマス・ティーマ、ハンス=ウーヴェ・バウアー、フォルクマー・クライネルト、マティアス・ブレンナー
 
このポスターの場面、レコードを聴くためのヘッドフォンではなく、盗聴のためのヘッドフォンだったんですね。
 
【あらすじ】
時は、ドイツが東西に分裂していた1984年。社会主義東ドイツでは、言論の自由はシュタージ(国家保安省)の支配下にあった。そのシュタージの局員であるヴィースラーは、劇作家のドライマンが反体制でないかその証拠をつかむため生活のすべてを盗聴するよう命令される。
 
ヴィースラーは、日夜盗聴し続け、ドライマンとその彼女である女優のクリスタの生活を手に取るように把握するようになる。初めは興味本位と反体制のものを抹消するという精神で始めた盗聴だったが、月日が過ぎるにつれて次第にドライマンの立場や心境に親しみを感じていくようになっていく・・・。
 
【感想】 以下ネタばれあり
感動的な話でした。本当によかった・・・!!
ヴィースラーがドライマンの心情に近づいていく過程がとても自然で、違和感がまったくなかったです。
 
心に残った場面がいくつかありますが、その一つが、クリスタが大臣に関係を強要されたあとドライマンに傍にいてほしいと二人でそっと横になっているのを盗聴しているヴィースラーの表情としぐさが、まるでヴィースラー自身がドライマンになっているかのようだった場面。
 
それから、クリスタがドライマンの「行かないで」という言葉を遮って、権力のある大臣の約束に嫌々行こうとする途中で、偶然を装ったヴィースラーの話を聞き、思い返してドライマンの元に帰った場面。そして、その場面の報告書を読み、「今回のはいい報告書だ」という満足気なヴィースラーの表情。
 
そして、なにより、最後の場面。劇作家のドライマンが自分を守ってくれたヴィースラーを突き止めるが彼には会わずに、『善き人のためのソナタ』という本を執筆して、その本の最初のページに「ヴィースラーへ捧げる」と記し、それを見つけたヴィースラーが本屋の店員の「包装はどうなさいますか?ご自身用ですか?」の質問に、「私のための本だ」と答える様子。
 
いやあ、よかったわー。今年一番の感動かもなぁ。ヴィースラーの心の変化と彼の無口な中の表情がとてもよかった。彼は「善き人」になったのだね。この映画は永久保存版かな。
 
1984年なんてホントつい最近のような年なのに、社会主義政権の下で一部の権力者たちの一存により人の命が簡単に奪われ、精神もコントロール下にあったなんて・・・。そして、こんな状態が現に今でも世界中のどこかで現在進行形であることにも嫌悪感を抱きます。
何が正しくて何が正しくないのか、その人が置かれている国、立場、状況によりその答えは様々なんだろうけど、ただ道徳的にも人道的にも明らかに誤った答えが正となるような状況だけは、早く世界中から減少してほしいと思います。