リフレッシュの時間

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『ファーゴ』

ようやく見ました。コーエン兄弟の『ファーゴ』。
 
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原題:FARGO  製作年度:1996年 製作国:アメリカ 上映時間:98分
監督:ジョエル・コーエン 脚本:イーサン・コーエンジョエル・コーエン
出演:フランシス・マクドーマンドスティーヴ・ブシェミウィリアム・H・メイシー
    ピーター・ストーメア、ハーヴ・プレスネル、ジョン・キャロル・リンチ
 
これは面白かったです。アメリカのミネソタ州のとある田舎町での殺人事件の話ですが、この町の住人達の様子と、どうして殺人事件が起こっていったかという事の顛末がよく分かり、面白かったです。ニュースになる殺人事件は案外こんな動機や経緯で起こるものが大半なのかもしれない。
 
【あらすじ】 ネタばれなし
ミネソタ州ミネアポリスで、自動車販売会社のあるセールスマン(ウィリアム・H・メイシー)が、自身の抱える借金問題を解決するため、大金持ちの父を持つ自分の妻を誘拐させてその身代金を得ようと企む。職場にいる前科もちのツテでその手のワル二人(スティーヴ・ブシェミピーター・ストーメア)を紹介してもらい、計画実行に移ることとなった。
 
妻が誘拐されて、セールスマンは慌てた様子を装い、義理の父に連絡する。一方で、セールスマンに手配してもらった車を走らせるチンピラ二人は、ナンバープレートをつけていないということでパトカーに止められる。職務質問を受けていたが、「車を降りてもらおうか」の言葉で、二人のうち無口な大男の方がとっさに警官を射殺。変な顔の方は大男の犯した事の処理に追われることとなった。そこへ、たまたま一般市民の乗った車が通り過ぎる。
事件現場を目撃されたことにキレた大男が、猛スピードで車を走らせ、彼らを追いかけ・・・。
 
その翌朝早く、地元の警官である妊婦のマージは殺人事件の連絡を受け、現場に向かった。動じることなく慣れた様子で、現場に残された痕跡を収集して事件の経緯や犯人像を推理していく・・・。
 
【感想】
人物や事件の描かれ方が良かった。淡々と描かれていて、見ている者の心理に効果的な音響などもつけられていないし、視覚的にも特別に効果的に処理されていないところもいい。警官の事件に対する処理も事務的。ただ一面に広がる雪景色、自然が、この事件の滑稽さを浮かび上がらせていました。
 
残忍な事件で、事の発端も馬鹿みたいなことなんだけど、それが妙に説得力があって、現実に起きているいくつもの殺人事件もきっとこんなふうに起きているんじゃないかと思う。殺人事件と聞くと、きっと人を殺すまでに至るとんでもない背景や人間関係の争い、もめごとがあったんだろうと想像しがちだが、実は非常にシンプルなものなのかもしれない。それはそれで問題だし、こんなことで人が殺されてはいけないと思うけれど・・・。
 
警官のマージが、殺人犯に言う言葉が心に強く残った。「こんないい日なのに、どうして少しのお金が欲しいだけでこんな事件を犯すの?人生はもっと素晴らしいものよ。」
日々繰り返される事件とは隣り合わせのマージだけど、彼女の生活はやさしい夫と生まれてくるお腹の子どもとで幸せに満ちあふれていて、地味でも平凡な幸せこそが最高の幸せであるということを象徴しているかのようでした。いい作品でした。