リフレッシュの時間

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『ふたりの5つの分かれ路』

フランス映画です。
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原題:5X2  製作年度:2004年 製作国:フランス 上映時間:90分
監督・脚本:フランソワ・オゾン
出演:ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ、ステファン・フレイス、ジェラルディン・ペラス
    フランソワーズ・ファビアン、アントワーヌ・シャピー
 
大学時代に、一緒に映画を見に行った女友達と、『マザーテレサ』とこの映画のどっちを選ぶかで、意見が分かれたことがあります。彼女はこの映画を見たいと主張したのですが、私は当時から恋愛ものは苦手で『マザーテレサ』を主張し、結果、彼女が折れてくれて、『マザーテレサ』を見たのです。
今、この映画を見てみて、あのとき『マザーテレサ』にして良かったと思う。当時の私たちにこの映画の描く大人の恋愛に対する心模様が分かるはずがありません・・・。だからと言って、今分かったのかと言われたら、それもまた・・・ですが。
 
【内容】 ネタばれなし
この映画は、二人の男女が離婚する場面から始まります。子どもは一人。彼が成人するまで、養育権は共同。
 
時は遡って、子どものニコラがまだ3歳頃で、幸せな感じの二人を描いた場面に移ります。男性の兄とその恋人もやってきてささやかなホームパーティー
 
そして、さらに時は遡り、ニコラが生まれる直前の場面です。胎盤の位置がずれていて、早産となった妻のマリオン。夫のジルは、出産に立ち会う約束だったのに、仕事や渋滞という言い訳を作って、立ち会いませんでした。
 
さらにさらに遡って、二人が結婚する場面。二人の結婚式は幸せそのもの。二人も愛し合っていて、誰の目から見てもお似合いの美男美女カップル。挙式の夜、花嫁は夜風に当たりに外へ出て、アメリカから自分たちの結婚パーティーに参加しに来ていた男性と出会います。
 
そしてさらに時は遡り、二人が出会った場面。イタリアでのバカンスで、二人は偶然出会いました・・・。
 
【感想】
この映画を見て、愛情って何なのかと思う。幻想なのか、思いこみなのか。初め二人の間に芽生えていたものなのか。芽生えたけど消えたのか。それとも、そもそも何も無くて、あると信じていただけなのか。
 
ただ、確実に言えるのは、二人が離婚する時、マリオンの心の中には何も無かったということだけです。
そして、出会いというものが偶然であるように、別れもまた、偶然のもののように感じました。喧嘩別れではなく、お互いの間に冷めた感情しかないから別れる。
 
なにか淋しいですね。特にフランス人だからか、恋愛への追求が日本人より深いように思います。フランス人って(映画で見る限り)ホント情熱的だからなぁ。「冷めた」ということにも敏感そうです。日本人なら、これぐらいの状況で子どももいたら、別れないんじゃないだろうか。まあ、そこは個々の価値観によるかもしれません。日本でも今、熟年離婚が多いようですし。
 
なんにせよ、「別れる」って空しい気がします。よほど相手のことを恨むような事件が起きない限り、何度か「やり直し」をトライすることはできないのかなぁ。
初めの場面で二人の離婚が法的に認められた後、ジルが、マリオンに「もう一度やり直せないか」と訊いていました。マリオンは振り返って、しばらく止まって、そして無言で立ち去って行きました。そういうことなんでしょうね、やり直せないから『離婚』なんですよね。わかってはいますが、淋しい、切ない映画でした。