リフレッシュの時間

自分の思いつくままに、好きなことを書いています

『シスタースマイル ドミニクの歌』

『ドミニク』を産んだベルギーのシスターをベルギー出身のセシル・ドゥ・フランスが演じています。
 
イメージ 1
 
原題:SOEUR SOURIRE  製作年度:2009年 製作国:フランス・ベルギー 上映時間:124分
監督:ステイン・コニンクス
出演:セシル・ドゥ・フランス、サンドリーヌ・ブランク、ヤン・デクレール、ジョー・デスール、
    マリー・クレメール、クリス・ロメ、フィリップ・ペータース、クリステル・コルニル、
    ツィラ・シェルトン、ラファエル・シャルリエ、ヨハン・レイゼン、ベルナルド・アイレンボッシュ
 
『ドミニク』って有名ですよね?!私はこの映画を見る前から聴きなじみのある曲でしたが、うちの夫は初めて聴いたなどと言っていました。この曲、聴いたことありますよね。⇒youtube“Dominique
と言っても、私も聴いたことはあっても、この歌を歌っていた人がシスターだったということや、この歌の意味なんて全く知りませんでした。この映画は、そのシスターの人生を描いた伝記映画です。
 
【あらすじ】 ネタばれなし
『ドミニク』を世に生み出したのは、ベルギーの片田舎の修道院にいた、ジャニーヌセシル・ドゥ・フランスというシスターだった。彼女は、ベルギーのブリュッセルでパン屋を営む両親と、妹のような存在のいとこと暮らしていたが、ジャニーヌが語る現実離れした「夢」に呆れていた保守的な母とはうまく行かず対立していた。そんな家に嫌気が差したジャニーヌは思い立って修道女となることを決意する。
 
修道院に飛び込んだ彼女だったが、自由奔放な彼女が、規則でがんじがらめのお堅い修道院になじめるはずもなく、マザーとは対立してばかり。精神的に窮地に追い詰められた彼女は、必死に救いを求め、家から持ってきたもののマザーに没収されていたギターを与えられる。そして彼女はかの有名な曲を作り出した・・・。
 
そしてこの『ドミニク』はあっという間に世界中で大ヒット。その収入は教会に入り、ジャニーヌも自分の歌がヒットして自分が有名になっていくことに満足していた。ところが、彼女は、もっと人前で歌い続けたいと思い始める。
それに対してマザーたちは、彼女の使命は布教であり、歌手ではないと彼女に言い渡す。我慢ができなくなったジャニーヌは、修道院をやめて、かつての親友アニー(サンドリーヌ・ブランク)の元へ。
 
そして、歌手を志すジャニーヌは、郊外でアニーと暮らし始めるのであった・・・。
 
【感想】 以下、ネタばれあり
ジャニーヌ、激動の人生ですね。波瀾万丈です。彼女自身、かなり個性が強烈だったし、我が強かったです。自分が決めたことを最優先にして、あんまり周囲の意見に耳を傾けないというか・・・。彼女の、教会という巨大な権威に対する反感もわからなくはないけど、すべて自分の力のみで成し遂げたんだという思い上がりが彼女を破滅に導いたのだなぁと感じました。その欠点を除いては、明るく快活で、楽しく人から好かれる性格なのに。
 
マザーたちは、彼女のそんな際立った我の強さを直して、もっと広く人々の役に立てるようにと考えていたのだと思います。決して、ジャニーヌ自身が思うような、保守的の一辺倒で彼女の活躍を阻もうとしていたわけではないと思う。
本名で歌を出したいとするジャニーヌに対して、「芸名にすることで匿名になってあなたが守られるのです」とマザーは言っていたけど、それが実際のところそのとおりだったんじゃないかと、彼女のその後の人生を見て思いました。『ドミニク』がヒットしたのも、曲調が軽快で覚えやすいメロディと歌詞というのはもちろんだけど、シスターという謎めいた存在だったのもあったのではないかと思います。
 
修道院を飛び出したジャニーヌの人生は、哀れに思えました。歌ってもうまくいかない。マスコミにすっぱ抜かれたデマの記事に家族とも決定的な亀裂が。親友とも山あり谷あり。最後に下した決断も・・・結局現実を直視できなかったのか、もしくは、妥協できなかったのか。
彼女たちにとっての「生きる」というのはこういうことだったんだろうな。自分の思うように行かなくなった時点で生きる意味はなくなったということなのでしょう。才能があっただけにもったいないです。なにか儚さを感じた話でした。