リフレッシュの時間

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『セラフィーヌの庭』

フランスの素朴派の画家、セラフィーヌ・ルイを描いた作品です。WOWOW録画で見ました。
 
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原題:SERAPHINE  製作年度:2008年 製作国:フランス・ベルギー・ドイツ 上映時間:126分
監督・脚本:マルタン・プロヴォスト
出演:ヨランド・モローウルリッヒ・トゥクール、アンヌ・ベネント、ジュヌヴィエーヴ・ムニシュ、
    フランソワーズ・ルブラン、ニコ・ログナー、セルジュ・ラヴィリエール、アデライード・ルルー
 
“素朴派”と聞いて、思い描く画家は誰でしょうか。私は、ルソー、グランマ・モーゼスかな。
“素朴派”を調べてみると、他にアンドレ・ボーシャンの絵画も見たことがありました。
この映画の主人公セラフィーヌ・ルイは、フランスの“素朴派”でした。この映画を見るまで彼女の存在も知りませんでした。もちろんどんな画家かも。でも、映画の中に登場する彼女の作品は、独特で、個性的で、同じ“素朴派”に分類されているルソーなどともまた全く違っていて、それが結構良かった。
 
【あらすじ】
彼女は、フランス郊外の町の家政婦として働いており、敬虔なキリスト教徒でした。汗水流して働いていると、鍋に聖人が見えるようになるという言葉を信じているぐらいの敬虔なキリスト教徒です。一風変わっていて、快活な性格ではなく、寡黙でひっそりとした地味な性格。貧乏なので、生活用品から絵の具を作って絵を描いていました。作れない白色だけは買って。
 
そこに、働いているアパートの住人であるドイツ人の画商と知り合います。そして、セラフィーヌの絵がその画商ウーデに見出されるのです。しかし、時は20世紀はじめ。第一次世界大戦が始まり、ウーデはフランスを離れることを余儀なくされます。逃げるようにフランスを追われ、セラフィーヌとも離れ離れに・・・。
 
【感想】
セラフィーヌの最後には、残念でした。展覧会が開催されないことから精神的に病んでいったと描かれていましたが、彼女はもともと一風変わった性格だったので、どこから「病んでいた」なのか、よくわかりませんでした。お金使いが荒くなっていった辺りからでしょうか。結婚するわけでもないのに、ウェディングドレスを買って、「天使が祝福してくれる」と言っていたときからでしょうか。
 
以前から変わった性格の彼女を受け入れ、やさしく接していたウーデが良かったです。彼の、「“素朴派”なんて失礼な。言うなれば“現代的プリミティブ”(←確かこう表現していたと思う)だ。」という発言に、彼の芸術への捉え方や人としての愛情が表れていたように思います。彼は、利益追求主義ではなく、いい人物だったなぁ。
 
セラフィーヌの、「旦那さま。悲しい時は、田舎に行って木に話しかけてください。花や生き物が癒してくれますよ。本当なんですよ。」という言葉も強く印象に残りました。今まで、家政婦として、人々からこき使われて馬鹿にされ続けてきた彼女。絵を描いてもその才能は誰にも気づかれず、先入観で物を判断する人たちに「絵なんてやめなさい。才能無いわ。」などと言われる。それでも描き続けた彼女は、マリア様や天使を信じる信心深い人物だったからなんでしょうね。
 
確かに、絵画を誰からも習っていないがその才能がある人たちというのは、見出される可能性が低いのでしょうね。でも、技術に囚われず、純粋な感性のまま表現することができるというのは素晴らしいことだと思います。
このような画家たちにとって、自分の作品の良さを見出す画商との出会いはそれこそ巡り合わせなのかもしれません。そう考えると、画商の芸術への貢献を改めて感じさせられます。素晴らしいものを見つけ世に送り出す役目ですもんねぇ。ウーデ、よかったわ!