リフレッシュの時間

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2010年11月 ゴッホ展 その2

ゴッホ展 その1のつづきです。
 
第Ⅳ章は、1886年に移ったパリでの作品です。ゴッホは当時の前衛画家らと交流し、点描技法などを学びました。ロートレックから「薄塗り絵画」と呼ばれる薄い素描画のような塗り方をする艶消しの方法を勧められたり、また、当時人気だった日本の浮世絵版画から強烈な色彩と大胆な構図、奇妙なトリミングの影響を受けました。
 
この時期から、ゴッホの色鮮やかさが前面に出てきたのかなと思いました。好きな画風の絵が多くありました。
この章では、ゴッホの作品が、数々の印象派の作品とともに並べられていました。
 
印象派の画家の中で、この絵が面白いなと思いました。カイユボットの作品です。
 
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ギュスターヴ・カイユボット
『バルコニー越しの眺め』 1880年
ファン・ゴッホ美術館 蔵  油彩/カンヴァス
 
この絵、バルコニーの柵から下の通りを走る馬車が見え隠れしていて、面白いなと思いました。
このバルコニーの柵の模様も素敵ですしね。
端に見える葉っぱのようなものから、バルコニーには観葉植物が飾られているのかな、と想像力が働きました。
 
この絵の解説を今読んでみると、この絵の画面構成や枠組みは、日本の浮世絵の影響が明白とのことです。
この奥行き感かな。こういうところにも日本の浮世絵の影響があるなんて、日本人として嬉しいです。
 
 
 
 
 
 

印象派画家の作品と一緒に並んでいた作品です。
 
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1887年 トリトン財団 蔵  油彩/キャンヴァス
 
背景のブルーと、ヤグルマギクの紫がかった青がよく似た色なのに、その周りを囲むケシの赤や白い花のおかげで、その青の花が浮き上がって見えました。こういう花の絵からだんだんとあの『ひまわり』のような作品が生まれていったんですね。
 
並んでいた印象派画家の絵もよかったです。モネの絵が2点あってそのどちらもよかったです。
モネの絵は一つは、前にも見たことのある茨城県近代美術館の『ポール=ドモワの洞窟』でした。
 

それから、この絵も好き。
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フィンセント・ファン・ゴッホ  『マルメロ、レモン、梨、葡萄』
1887年  ファン・ゴッホ美術館 蔵  油彩/キャンヴァス
 
この絵、ブドウだけ白っぽくて、それ以外はほとんど黄土色。額縁もゴッホが作っただけあって(ゴッホが制作した額縁で現存するのはこの作品だけだそうです)、存在感が凄くありました。
どうして、同じ色なのに背景からその対象物がきちんと浮き上がって見えるのかよくよく観察しました。
ほんのわずかな色の違いもあるけど、筆さばきの方向の違いで区別しているのがよくわかりました。
 
なんか、ずっと見てたら、この果物が、瑞々しくて美味しそうにも見えてきましたよ!
 

あと、この絵も。ゴッホが点描法で描いてみた自画像。
 
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フィンセント・ファン・ゴッホ  『灰色のフェルト帽の自画像』
1887年 ファン・ゴッホ美術館 蔵  油彩/綿布
 
点描法もゴッホの手にかかるとこうなるのか、という感じです。スーラとかシニャックとかの点描画とはちょっと(っていうか全然?)違いますよねぇ。線が長いし。
大胆にジャケットの襟の線が引かれていたり、背景の線が心なしか帽子にスポットを当てているように見えて、面白い作品だなぁと思いました。この絵も、背景と自画像の着てるジャケットが同じような色ですよね。でも、筆の置き方と微妙に黒みたいな色が影のようになって、人物が浮き出ています。