このゴッホ展は、サブタイトル「こうして私はゴッホになった」からもわかるとおり、ゴッホが、あのゴッホ独特な画風になるまでの軌跡を辿ったものです。時代順に、ゴッホが師事した画家、影響を受けたものや画家などを紹介し、それぞれのゴッホの作風を解説してくれている、丁寧で分かりやすい展示内容になっていました。
ゴッホのあのグルグルうねったタッチの絵は今回はなかったです。
どちらの美術館もずっと行きたいと思ってるけど、オランダへはそう簡単に行けないですもんね。
展示は6章に分かれていました。
Ⅰ.伝統―ファン・ゴッホに対する最初期の影響Ⅱ.若き芸術家の誕生Ⅲ.色彩理論と人体の研究―ニューネンⅣ.パリのモダニズムⅤ.新のモダン・アーティストの誕生―アルルⅥ.さらなる探求と様式の展開―サン=レミとオーヴェール=シュル=オワーズ
各章について簡単に説明して、私が特に印象に残った作品をご紹介しようと思います。
まず、第Ⅰ章。
確かにここでミレーの作品に出会っているわけですよね。ミレーの描く農民の姿はゴッホのテーマですよね。
バルビゾン派の作品がたくさんありました。
私は、この章では、バルビゾン派のシャルル・ドービニーの『四月の月(赤い月)』が最も印象的でした。
第Ⅱ章。
ゴッホは、概ね独学の画家だが、力強い表現力を得るため素描力を鍛えたとのこと。
また、ゴッホは雑誌にあった版画の図版を集め、その図版からも影響を受けたそうです。
ゴッホが黒のチョークで描いた、たくさんの素描画がありました。
私が最も強い印象を受けた作品はこちらです。
この絵、すごくよかった。顔に深く刻まれたしわが。おじいさんの表情も。あごひげも白いクレヨンみたいに太い線があったりして個性的だし、本当にこの絵の人が今そこにいそうなリアルさがいいです。
ウィリアム・スモールの原画による
『庶民の素顔「イギリスのならず者」』
ファン・ゴッホ美術館 蔵 木口木板
この「ならず者」の顔の血管の浮き出ている感じとか、捕まえられてつき出されている様子。臨場感があって好きです。これが木版画なんてねぇ!
『白い帽子を被った女の頭部(ホルディーナ・フロート)』
1884-85年 クレラー=ミュラー美術館 蔵
油彩/キャンヴァス
実直な性格がうかがえる女性の像ですよね。
農民のおばあさんの絵もあったけど、真黒い背景に浮き上がるように人の顔が描かれていました。ゴッホの人を見つめるまっすぐな目を感じます。