リフレッシュの時間

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美術史・ロココ

18世紀には、17世紀のバロックの劇的な力強さと打って変わって
優美で繊細で、典雅な美学を求めたロココが登場しました。
 
ロココの語源は、「ロカイユ」で、ロカイユとはバロック庭園での人工洞窟を飾った小石や貝殻を指すそうです。
その曲線的なイメージからロココと呼ばれるようになったとのこと。
 
ロココって「ベルサイユのばら」のイメージのようで、私はあんまり観たことがない分野だと思いましたが、
昨年行ったルーブル美術館展で観た『マスターヘア』のレノルズロココの画家でした。
 
このレノルズは、英国王立アカデミー初代会長だったそうですが、
フランスの美術アカデミー、英国王立アカデミーが設立されたのがこのロココの時代だそうです。
芸術を育てる意識が強くなった時代ということでしょうか。
 
ロココの特徴は、それまでの大げさな歴史画や宗教画に替わり、
肖像画宮廷の恋愛市民生活などがよく描かれるようになったことです。
戸外での宴を描く「雅宴画」、寝室での男女を描く「閨房画」が好まれましたそうです。
 
フランスのルイ15世の愛人で、才色兼備なポンパドゥール夫人は、この時代のファッションリーダーでした。
 
「彼女は、宮廷美術全般の監督者に任命したブーシェと共同して、セーヴル焼等の美術工芸品から家具調度、
ファッションに至るまでの分野でフランス的な美学を確立、今日のファッション王国としての基盤を築きました。」
(『名画の歴史』から引用。)
 
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 モーリス・カンタン・ド・ラ・トゥール  『ポンパドゥール夫人』  1755年  ルーヴル美術館
 
この絵の机の上には、モンテスキューの「法の精神」やディドロダランベール編「百科全書」など
歴史的名著が並んでいるそうです。彼女の才色兼備を表したってわけですね。
 
豪華なドレスがきれいですね、さすがファッションリーダーです。
表情も優しげでかわいい女性ですね。
 
ロココの画家は、ヴァトーブーシェフラゴナールが“ロココ3大巨匠”で、
他に、シャルダン、ゲーンズボロ、上に書いたレノルズなどがいます。
 
ロココの代表作は、こちらです。
 
イメージ 2
 
フラゴナール  『ぶらんこ』    1767年  ロンドン・ウォーレスコレクション
 
これは男女の恋愛模様を描いた作品です。
パッと見ると変な絵です。後ろにブランコを引く人がいて、暗めの背景に派手に浮かぶピンクの女性の姿。
彼女は、靴を飛ばしていて、その下に頬を赤らめる男性の姿が。
周りの銅像の天使たちも、まるで生きているかのように彼女と若い男性を眺めています。
 
この絵には、当時の様子がよく表れているそうです。
ブランコに乗った女性の首には当時流行のリボンのおしゃれ。ストッキング留めにも宝石のおしゃれをしている。当時のスカートの裾は長く、女性の脚はつま先しか見えなかったのに、ストッキング留めにおしゃれをするのは、このように見せるためにあったんですって。
女性の頬には、当時「ベルサイユ用」と呼ばれたバラ色のチークで、貴族の化粧には必須だったとのこと。
飛ばしているミュールもこの時代の流行最先端だったそうですよ。
 
そして、意味深なのは、後ろでブランコを引いている男の人は、彼女の夫だそうですよ。
夫に知られているのかそうでないのか、この女性と若い男性は浮気をしようとしているのかもしれないです。
この様子から察するに、女性から誘ってそうですねぇ。夫に飽きたんだろうか・・・。
 
これがロココの代表作だなんて、ロココって恋愛至上主義だったんでしょうか。


このロココの享楽の世界は、1789年のフランス革命を招き、自滅。次に現れたのは新古典主義でした。
 
次回は新古典主義について。