リフレッシュの時間

自分の思いつくままに、好きなことを書いています

『女はみんな生きている』

映画で気晴らし。この映画もずーっと気になっていたのに観ていなかった映画。借りてきました。
 
イメージ 1
 
原題:CHAOS  製作年度:2001年 製作国:フランス 上映時間:112分
監督・脚本:コリーヌ・セロー
出演:カトリーヌ・フロ、ヴァンサン・ランドン、ラシダ・ブラクニ、リーヌ・ルノー
    オレリアン・ウィイク、ハジャール・ヌーマ、ヴォイチェフ・プショニャック
 
毎日ルーチンワークでせわしなく生活する妻が、ある日非日常に飛び込み、新たな人生を見出していく話です。
これ、邦題より原題のままの方がよかったんじゃないでしょうか。一連の出来事が完全に“CHAOS”ですよ。
 
簡単に【あらすじ】  ネタばれなし
主人公のエレーナは、会社社長で仕事一徹の夫を持つ妻。大学生の一人息子がいるが、近所で彼女と同棲をしていて、母親のことなんて面倒がるばかり。夫も自分の母親をないがしろにして冷たく接している。
 
そんな心の通じ合いもほぼ無い名ばかりの家族を持つエレーナは、忙しい夫と共に、毎日が戦いかのごとく忙しくて、一分一秒を争って生活しているのだけど、ある日、夫と、車で晩餐会か何かへ向かう途中に、女性が3人の男性に滅多打ちに殴られる場面に出くわす。
「助けて」と叫ぶ彼女に、助けてやりたい一方で、晩餐会のことしか頭にない夫は無視して車を出してしまう。
 
しかし、エレーナはその女性のことが頭から離れず、翌日、彼女が収容された病院を突き止め、彼女の元へ行った。そこでは、昨晩殴られ重傷を負った彼女が、意識不明の状態で眠っていた。その日からなぜかエレーナは、名前も知らない彼女の看病につきっきりになるのだった・・・。


【感想】
これは軽いコメディですよね。わりと面白かったです。優しさのかけらもない仕事人間の夫が、妻がいなくなって生活するのに支障をきたし、苛立ったり困惑したり、めちゃくちゃになっていく様子が滑稽でした。
 
夫婦って子どもが大学生にもなる頃にはこんな風になるんですかね。まあ、その夫婦にもよると思うけど。エレーナの心境はわかります。毎日同じことの繰り返しのつまらない日常から、「非日常」に飛び込むという心境。
こんな夫じゃ飛び込みたくもなるわ、長年連れ添っている妻のことを「共同生活者」としか思っていなくて、彼女の携帯電話に「(家事の)責任を果たせ」の留守電を入れまくりですもんね。なぜか憎めない夫ではありましたが。
 
「非日常」に飛び込んでから、とにかく想定しえないことばかりが次々と起こり、エレーナはそれに何か使命感を持って挑んでいき、さらにはその看護していた女性ノエミに導かれて、またエレーナ自身が彼女を導いて、新たな世界を切り開いていきます。このエレーナとノエミのたくましさにはあっぱれですね。それでこんな邦題がついたのですね。
 
でも、私としては、彼女2人よりも、夫のお母さんの最後の満面の笑みの方が強烈に印象に残りました。今まで息子から無視まではされないにしろ素っ気なくあしらわれ続け、郊外で独りぼっちで暮らす日々。そこに突如現れた息子の妻のエレーナと謎の女性ノエミ。訪問されたというだけでもうれしく、さらに一緒に暮らすことへの幸福感。よかったねぇ、おばあちゃん・・・!です。
 
ノエミの壮絶な半生の割には、予想していたよりもかなりあっさりした後味の映画でした。