リフレッシュの時間

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犬塚勉展―純粋なる静寂―

この間の三連休に、高島屋日本橋店で開催されていた犬塚勉展―純粋なる静寂―に行ってきました。
 
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この美術展、日経新聞の抽選に応募したところ当選したもので、このチケットが当たるまで恥ずかしながら犬塚勉さんという画家の存在を知りませんでした。しかし、いざ見てみると、彼の38年という短い一生の間に様々な作風にチャレンジしていて、非常に楽しめました。
 
この犬塚勉さんは、NHKの日曜美術館で取り上げられて注目を浴びているそうです。
彼は、初め小中学校の美術の先生をしながら放課後に、学校近くの多摩の風景を描いていたとのことでした。
「多摩」と言えば、かつて私も数年間暮らしていた地域。私が住んでいたのはほんの数年前のことですが、確かに森や田畑が広がっている場所もありました。美術展に展示してあった年表をよると、犬塚勉が多摩で絵画を描いていた時代は1980年代のことなので、もっと自然が豊かだったことでしょう。
そのうち彼はさらに自然を求めて奥多摩へと越していきます。
 
彼の自然の描き方は、そのときどきによっても多少異なりますが、自然を忠実にありのままにその細部まで再現したものでした。チラシに載っている作品『ひぐらしの鳴く』は、その代表作とだけあってさすがの存在感、パワーを持った作品でした。大きなサイズの作品なのに、そこに草むらが広がっているかのような細かいリアルな草木。圧倒されました。ほぉ~と言いながら、思わず微笑んでしまう芸の細かさでした。
 
その後、彼は、自然をさらに求め、登山をして、山の険しさや自然の厳しさを描こうとします。
 
(↓チラシ裏。右下をクリックすると拡大できます。)
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その結果、犬塚勉は、1998年谷川岳で遭難し、38歳という短い一生を終えることとなります。
この美術展は、彼の作品と共に彼の人生を追ったもので、最後には「もう一度水を見てくる」と言い残して絶筆となった作品も展示してあり、なかなか感慨深い美術展でした。
 
また、風景画に限らず、仏像を描いた作品や人物画などもあり、それらもなかなか個性的で楽しませてくれるもでした。しかし、他に負けない彼ならではの特徴が全面的に出ていたのはやはり風景画だったと思います。
丁寧に根気強く描かれたもので、その力作にはうなってしまうほどでした。
 
たまたま当たって行った美術展でしたが、大きな発見があり、楽しかったです。
食わず嫌いはするものじゃありませんね。