リフレッシュの時間

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『クレイジー・ハート』

切ない映画でした。哀愁漂ってるわー。
 
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原題:CRAZY HEART  製作年度:2009年 製作国:アメリカ 上映時間:111分
監督・脚本:スコット・クーパー
出演:ジェフ・ブリッジスマギー・ギレンホールロバート・デュヴァル、ライアン・ビンガム、
    コリン・ファレル、ポール・ハーマン、トム・バウアー
 
この映画、『レスラー』と同じような不器用な男の切なさを感じました。
アメリカ大陸の広大な美しい風景がまた主人公の哀愁を際立たせているよねぇ。思い通りには行かないこと、思い描いた理想と現実は違うこと。それを諦めるのではなく受け入れる、切なさと哀しさを感じました。
 
主人公のバッド・ブレイク(ジェフ・ブリッジス)は、57歳のカントリー・シンガー。かつては大人気の歌手だったが、その時代もとうに過ぎ、今は自分を知る者は老いぼれた者ばかり。若い人たちは、自分の教え子の人気歌手トミー(コリン・ファレル)に黄色い声をあげる。
 
このあたりは、『レスラー』と同じような設定だなぁ。『レスラー』は自分を傷め続けた主人公が、その人生を咲かせ、最後に散ってしまったという印象を残した映画だったけど、この『クレイジー・ハート』は、『レスラー』で描くような鮮やかさよりは、渋さが色濃く描かれていると思う。主人公のバッドは自分の行いを悔いて、更正しようと努力し、その試練を乗り越えるけど、でも、自分の願いは届かない・・・。
 
初めの設定こそ『レスラー』の主人公ランディと(分野は違うけど)同じような境遇ではあるものの、その後の展開は全く違います。ランディよりバッドの方が現実を受け入れる素直さがあると思う。更正してその試練を乗り越えたバッドには、その乗り越えたからこそのハッピーエンドを与えてほしいと思ったけど、そうはいかないのが現実なんだなぁ。悲しいものがありました。実際、映画の外の現実世界でも、そうしたもんなんだろうな。一生懸命努力をすれば、その努力に見合った成果を期待してしまうけど、実際には何の成果も得られないことも多々ある。
 
私はまだ三十路手前でそんな切なさを味わった経験は少ないけど、今、徐々に自分やその周りの価値観が変化していっている過渡期のような年齢だから、この映画を見てこれからそういう経験をしていくイメージが浮かびます。それは決して悪いことではないし、妥協とかそういう簡単な言葉で言い表せるものでもないと思う。何か、噛みしめてじっくり味わうような、ある意味人生の醍醐味みたいな部分にも思えます。どんなものかは、私の場合、これからのお楽しみになるのかな・・・。