タイトル“The Libertine”は「放蕩者」という意味なんですね、まさにこのロチェスター伯爵を表したタイトルです。
【あらすじ】 ネタばれあり
17世紀のイギリス。ロチェスター伯爵は、当時のイギリス国王チャールズ2世からも一目置かれる才能の持ち主の詩人だった。ところが、彼は奥さんがいるものの、何にも縛られず酒と性欲に溺れる放蕩者。
彼は、その才能を買われイギリス国王からフランス国王を招待する芝居を任されるが、彼の皮肉めいた性格が災いし、彼は卑猥な芝居を催す。結果、イギリス国王に恥をかかせ、その事件がきっかけで、その女優との関係も悪化。伯爵はさらに酒と性欲に溺れ、梅毒のため肌はボロボロ、顔は崩れ、以前の整った顔かたちは見る影を失ってしまう・・・。
王からも愛した女性からも見放された伯爵。病で残り僅かの命を振り絞り、彼はイギリスの国会にふらりと現れる。そして、「王の弟を王位継承者とすることを認めない法案」に反対する演説を行い、それを聞いた国会議員らはその法案を否認。王は、かつて顔に泥を塗られた伯爵に救われるのだった・・・。
【感想】
始終暗かったです。やりたい放題放蕩三昧の伯爵ですが、常に影を背負っていて暗かったです。
最後に彼が出てきて、「こんな私ですが、それでも私を好きだろうか?」などと質問してきましたが、迷わず「好きじゃありません。」 誰がこんな人物を好きなんだろう。
常に満たされない思いがあり、孤独で苦しいといった心境は理解できなくはないけど、才能を無駄にして、自分を認めてくれている王の顔にも平気で泥を塗る神経・・・さっぱり分かりません。映画で描かれている彼の一連の行動のほとんどがあまり共感できなかったので、彼の悲痛な訴えにも同情すらできませんでした。
どんなに才能があっても、こんな性格だったら、人々から見放されても仕方がないと思います。彼は梅毒で無残な姿となり、33歳という若さで命を落としました。遊び倒して華やかな一面はあったのでしょうが、悲しい一生だったと思います。
【追記】
この『リバティーン』の時代の17世紀のイギリスを調べてみたら、当時「王政復古」があり、この映画の主要人物の一人であるチャールズ2世は、まさに王政復古により議会から政権を返還されて王位に就いた王でした。
そもそも「王政復古」が面白いですね、いったんは絶対王権反対で議会が政権を握り、その後再び政権を王に返還したということですよね。日本で言えば明治維新だけど、明治維新の場合は徳川家の300年の政権掌握からの天皇への政権の返還で、イギリスの場合は議会が政権を握っていた期間はほんの十年程ですよね。
最近『ブーリン家の姉妹』を再び見たのですが、あのブーリン姉妹のいた時代は16世紀前半かぁ、なるほど。