リフレッシュの時間

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『ベルリン、僕らの革命』

ダニエル・ブリュール出演のドイツ映画。途中はどうなる事かと思ったけど清々しく終わったいい作品でした。
 
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原題:DIE FETTEN JAHRE SIND VORBEI / THE EDUKATORS
製作年度:2004年 製作国:ドイツ 上映時間:126分
監督・脚本:ハンス・ワインガルトナー
出演:ダニエル・ブリュール、スタイプ・エルツェッグ、ユリア・イェンチ、ブルクハルト・クラウスナー
 
【あらすじ】
ドイツのとある富裕層の豪邸。持ち主の家族が帰ってきて、家の中を見て茫然。家中の家具がめちゃくちゃなところに置かれ、椅子という椅子は組み立てられ、ステレオは冷蔵庫の中。お母さんお気に入りの陶器の兵隊の人形はトイレの中。組み立てられた家具の中に“LESEN !”(読め!)と書かれた一通の封書が。開けてみると、
「ぜいたくな暮らしは終わりだ!教育者より」
 
ベルリンの各地でのこの仕業は、熱い信念を持ったヤンダニエル・ブリュールとピーター(スタイプ・エルツェッグ)によるものだった。二人は、この社会が、貧富の差が埋まらないこと、経済的身分の強者は常に上にのさばり続け、弱者は永遠に弱者であることに疑問を抱き、どうにかしてこの体制が変わらないものかと試行錯誤していた。
 
街頭でビラを配る活動をしても何も変わらない。それなら、富裕層を怖がらせてやろうというものだった。
ピーターの彼女のユール(ユリア・イェンチ)は、9万4500ユーロもの借金を抱えてバイトに明け暮れていた。その借金は、急停車したベンツに追突してしまった損害賠償金で、日々の生活でさえ精一杯の彼女にはこの借金返済は重すぎて、将来のことを考えては悲嘆に暮れていた。
 
ユールは、ピーターとヤンが夜な夜な何をしているか全く知らずにいたが、ある日それをヤンから聞き、自分の人生をめちゃくちゃにした資産家を懲らしめたいという衝動に駆られてしまう。そして、感情的になるなと諌めるヤンを説き伏せて、無理にヤンを連れてその資産家ハーデンべルクの家に押し入ったのだが・・・。
 


【感想】
社会に対して、この3人が抱く感情ってよく分かります。
彼らは、資本主義という体制の欠陥を追及し、自分たちのやり方で、この社会の経済的強者に訴える手に出たわけですからね。必要のないぜいたく品を買うなら、東南アジアでお金がなくて生活できない子どもたちに寄付をしてくれ!と。それを自分たちが立ちあがって何とかしようというんだから、彼らの熱意には感心します。ビラを配っても耳を傾けない街の人たちに、リスクを冒して強硬手段で気づかせようとしているのですから。
 
強引な彼らのやり方には疑問を抱くかもしれないけど、この映画の良かった点は、そういうまっすぐな彼らの心の変化でした。ハーデンベルクの家で思わぬ事態に陥り、絶体絶命の大ピンチになるのですが、そこから終わりまでの経緯が良かった。
恋愛感情が芽生えて友情に亀裂が入り、仲間割れしかけたり、第三者の話を真摯に受け止めたり。彼らの考え方は極端かもしれないけど、彼ら自身、自分と対極にある人物の意見にもよく耳を傾けるという姿勢が、単なるテロリストとは全く違い、好感を持ちました。(途中の、ユールの無謀すぎる住居無理矢理侵入には嫌気が差しましたが。) そういう姿勢が、彼らをいい方向へと導いていきます。
 
そうそう、この映画で一番好きだと思った場面は、3人の関係がめちゃくちゃになって分裂し、怒り傷つき焼け酒していたピーターが、夜中に突然帰ってきてみんなが爆睡しているベッドにいきなりダイビングしてきたシーンです。あれは、なんかおもしろかったし、とてもうれしかったです。
 
この映画の全体を通して、3人は「若いなぁ」と感じました。その若さとは、社会の荒波にもまれて失ってしまいがちな情熱とか信念とかそういうものをしっかり持って、それを実行に移す行動力があるという若さです。いいな、こういう人たち。
彼らは、その後どういう活動をしていくのかは分からないけど、きっと、ああいう反社会的な過激的行動はやめて、でも自分たちの信念を曲げないで突き進んでいくことでしょう。
 
私も頑張ろうと前向きになれる作品でした。