リフレッシュの時間

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『ホワイト・オランダー』

母子家庭で、最愛のお母さんが殺人を犯して終身刑になり、残された少女の成長の話です。
TVで夜中に放送されていたのを録画して観ました。
 
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原題:WHITE OLEANDER  製作年度:2002年 製作国:アメリカ 上映時間:109分
監督:ピーター・コズミンスキー  原作:ジャネット・フィッチ  脚本:メアリー・アグネス・ドナヒュー
出演:アリソン・ローマンミシェル・ファイファーレニー・ゼルウィガーロビン・ライト・ペン
    ビリー・コノリー、スヴェトラーナ・エフレモーヴァ、パトリック・フュジット、タリン・マニング、
    ジョン・ビリングスレイ、マーク・ドネイト、アリソン・マン
 
【あらすじ】
アストリッドアリソン・ローマンは、アーティストの母イングリッドミシェル・ファイファーと二人で暮らす15歳。
母は、美しく、そして芸術家ゆえに感性が鋭く、気が強い。アストリッドは母に従うのが当然の生活をしていた。
 
ある日の朝、家の扉をドンドン叩く音で目覚めると、母が警察官に連れて行かれるところだった。
「10分で帰るから!」と言い残したが、母は、恋人を毒殺した容疑で、35年以上の終身刑を宣告される。
独りぼっちになったアストリッドは、施設と里親を転々とする生活を余儀なくされてしまう・・・。
 
初めの里親は、敬虔なクリスチャンだが、派手で嫉妬深いスターロビン・ライト・ペン
彼女の家には、彼女の恋人と、彼女の子どもたち3人が暮らしていて、そこに転がりこむことになった。
父親を知らないアストリッドは、父親代わりのスターの恋人に好意を寄せていく・・・。
嫉妬深いスターがそれを見逃すはずがなく、アストリッドは施設へ返される。
 
施設では、様々な境遇の孤児たちが暮らしており、アストリッドは友達を作らないようにして過ごしていたが、絵の繋がりで、ある男の子パトリック・フュジットの友達ができる。二人は徐々に心を通わせていくが・・・、ある日突然、新しい里親クレアレニー・ゼルウィガーが見つかり、アストリッドはその元へ連れられる。
 
クレアは女優で、性格もおっとりして心の優しい人。TV局に勤める夫は一年の半分以上家に帰ってこなかった。そのため、クレアは良き友達としてアストリッドを大切にし、二人で楽しい生活を過ごしていた。
ところが、アストリッドの母が、刑務所に訪問に来るアストリッドの雰囲気から、我が子が他人の色に染まっていくことを嫌い、クレアのことを「弱い人間だ」と言い放ち、彼女の元から去るようにアストリッドに命令する。
 
アストリッドは、様々な境遇に身を置くことで、母の性格、考え方を客観視できるようになっていった。そのため母の考えに疑問を抱きながらも、それでも最愛の母に逆らえないで、心の中で葛藤が生じるようになっていく・・・。
 


【感想】
殺人を犯す事件を扱った映画は見ても、その事件の後に残された家族や子どもの「その後」を描いた作品を見たのは初めてでした。今まで、残された子どもの「その後」について具体的に考えたこともあまりなかったです。なので、この映画を見ながら、考えさせられたし、ためになりました。
 
それに、この話は、犯罪者の家族を描いているのではなく、我が子への愛し方を間違えている母と、そこから自立しようとする子との関係を描いていて、それも興味深かったです。
 
里親の元へ行くということも想像するのと、その様子を目にする(映画だけど)のは全く違いますね。
里親と言っても人間だから、気性が荒かったり、初めは安定していても段々と精神不安定になってお酒に頼るようになったりするし、当たり前だけどそれぞれにそんな「家庭の事情」があり、そこへ全くの縁もゆかりもない赤の他人がポーンと乗り込むわけですから、順応するのも大変だし、信用されるのも努力しないといけないし、想像以上に疲弊してしまう状況でした。
 
それに加えてアストリッドの場合は、気の強い母が彼女にあれやこれやと、例えば、クリスチャンの里親がくれた十字架のネックレスを身につけていると、それに気づいて「教会に行くな。彼らに染まるな。神の言うとおりにするな。意志のある人間の考えこそが崇高なのだ。」などと、自分の考えを押し付けてきて、かわいそうでした。
そもそも、あんたが自分をこんな境遇に置いたんやろ、って感じなんですけどね。
 
自分の非のせいで子どもをこんなに目に遭わせている以上、子どもを自分仕様にしようとする権利なんて皆無だと思う。そもそも我が子は自分のペットじゃないですしね!それでも、この母を完全に憎みきれない部分もあり、少しもどかしいです。この母もまた母になりきれていない一人の人間なんですよね。
 
だからこそ、彼女が精神的に母から自立していく様子は、見ていて自然に応援してしまっていたし、彼女が心の頼りにできる友人を見つけられたことにも感動して胸が熱くなりました。いい映画でした!
 
タイトルの“WHITE OLEANDER”は『白い夾竹桃』で、美しいが毒のある花、彼女の母親を意味しているようです。