リフレッシュの時間

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美術史・ロマン主義

19世紀に入って登場したロマン主義は、新古典主義と真っ向から対立しました。
 
ロマン主義は、新古典主義を意識してか、荒々しいタッチに強烈な色彩で描きます。
 
「その特徴は、理性よりも感情、静的な調和よりは動的な緊張を尊重する点にあり、劇的な同時代の事件、神秘的な自然のスペクタクル、人間の心の内に秘められた狂気といった激情的な主題を好んで描いています。」(『名画の歴史』より引用。)
 
やっぱり、ロマン主義の代表作は、これでしょう。
 
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 フェルディナン・ヴィクトール・ウジェーヌ・ドラクロワ 『民衆を導く自由の女神』  
                                                                                        1830年  ルーブル美術館
 
絵の中の登場人物たちの革命に湧く熱気のようなものさえ伝わってきそうです。
この絵は、1830年の7月革命が題材で、ナポレオン失脚後の王政復古に不満を募らせた市民が蜂起し、
バリケードを築いて戦う光景を描いているそうです。
 
ドラクロアが訴えたかったのは、政治的な主張よりも既存の価値観に反抗する熱い情熱だったそうで、
そんな彼らロマン主義のことを詩人ボードレールは「情熱を情熱的に愛していた」と評したとのことです。
 
ルーブル美術館に訪れたことがあるくせにこの絵を観ていない私はアホですね。もう一度行くしかないです!)


ロマン主義の作品の中で、こんなものを見つけました。これは何だと思いますか?
 
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 ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 『吹雪』  1844年 ロンドン・テートギャラリー
 
迫力があって引きこまれそうな絵です。凄いなぁ・・・
ターナーの作品はいろんなところで見かけていました。ターナーロマン主義だったのか。
 
この絵は、暴風に翻弄される蒸気船を描いているそうですが、
そう言われて見れば絵の中央に蒸気船があるような気がします。
何を描いているのかパッと見ただけではわからないですが、その凄まじさや威力は存分に伝わってきます。
かっこいいですねぇ!
 
この時代は、交通機関の発達で人々の行動範囲が拡大し、人々が未開の自然に触れる機会も増え、
自然を崇高なものとして畏敬する感受性が生まれた時代だそうです。
 
蒸気船が実用化されたのが、1807年。蒸気機関車の発明が1804年。
船は昔からあったけれど、蒸気機関車の存在は大きいと思います。
 

他にも、ロマン主義には、
フランス:ドラクロアジェリコー、ギュスターヴ・ドレ
イギリス:ウィリアム・ブレイクターナー、サミュエル・パーマー
イタリア:フランチェスコ・アイエツ  スイス:フュースリ  ドイツ:フリードリヒ、ルンゲ  などです。
それと、前の新古典主義でご紹介したスペインのゴヤも入っています。
ゴヤ新古典主義にもロマン主義にも入っていたってことですね。
 

ところで、この19世紀は、美術界において数々の流派が登場しています。
19世紀前半に登場したのは、新古典主義ロマン主義写実主義バルビゾン派
19世紀中頃には、象徴主義ラファエル前派印象主義ポスト印象派が、
19世紀後半には世紀末美術(ユーゲントシュテイル)などが登場しています。
すごい!やはり、この時代は、産業革命で力を持った市民が台頭し始め、
画家の個性を尊重する美術界のパトロンが増えてきて、画家も自由に描けるようになったからでしょうか。
 
次は、写実主義バルビゾン派をご紹介します。