リフレッシュの時間

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“キングダム・オブ・ヘブン”

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脚色はあるものの史実に基づいた物語で、登場人物のほとんどが実在した人物だそうです。
この映画のタイトル『キングダム・オブ・ヘブン』とは、エルサレムのことを指します。

この作品は、十字軍とイスラム軍の聖地エルサレムをめぐる宗教戦争を描いた作品です。



【作品内容】
時は、十字軍がエルサレムを占領してから100年ほど経った時代。
(歴史上、ヨーロッパ側がエルサレムを100年ほど占領したのは、1099~1187年のこと。)

当時、圧政に苦しむヨーロッパの人々は貴族も貧しき者も、救いを求めて聖地エルサレムに向かったという。

この物語の主人公バリアンオーランド・ブルーム)は、フランスで鍛冶職人として働いていた。
子を亡くした苦しみで妻が自殺してしまい、悲しみに打ちひしがれていたところ、
自分の父と名乗るエルサレム・イベリンの領主であるゴッドフリー(リーアム・ニーソン)が現れ、
「共に十字軍に参加せよ」と告げる。いったんは断ったバリアンだったが、
自らの罪と自殺した妻の罪の許しを請うため、聖地エルサレムへと向かうことを決める。

当時、エルサレムは十字軍国家『エルサレム王国』が支配しており、
すぐ近くに偉大なサラディンが率いるイスラム勢力があったものの、
エルサレム国王のボードゥワン4世サラディンが理解し合い、共存共栄していた。

ところが、エルサレム王国内の一部の領主が「異教徒を殺すことは殺人ではない。神への道だ」と説き、
巡礼に来るムスリムや隊商のムスリムを片っぱしから虐殺するという事件を起こし始めた。

その度に、ボードゥワン4世の謝罪があり、ボードゥワン4世との信頼関係から
その虐殺行為を許していたサラディンだったが、ボードゥワン4世が亡くなり、
イスラム派であるギー・ド・リュジニャンが国王になると、いよいよ本格的に罪なき
ムスリムが虐殺されるようになり、キリスト教イスラム教の戦いが起こることとなった。
(ヒッティーンの戦い)

その地に古くから住むイスラム勢力と十字軍の力の差は歴然であり、
無謀な戦いを挑んだ国王ギー・ド・リュジニャンはあっという間に捕えられた。

主人公バリアンは、キリスト教徒としてではなく、
もはや騎士のいなくなったエルサレムに住む一般市民の命を守るため、イスラム勢力と戦う決意をした。



【感想】
最も印象的に残った場面は、
主人公のバリアンがエルサレムサラディンに引き渡すときにサラディンに質問をした場面でした。

エルサレムとは何か?」とのバリアンの問いに、サラディンは、
「無だ」と答え、続けて、
「と同時に、すべてである」
と答えていました。

作品内容で太字で書いた登場人物は実在した人物で、この作品での出来事も実際あったようです。

驚いたのは、100年ほど続いたエルサレム王国時代に、
異教徒のイスラムとの共存共栄が存在していたということです。

そして、サラディンというエジプト・アイユーブ朝の偉大な王の存在です。
この王は非常に寛大な王で、敵国の捕虜も殺さずに身代金で相手国に引き渡していたそうで、
この映画でもそういった寛大な行為が描かれていました。
なんと、捕えられたエルサレム国王ギー・ド・リュジニャンも、
サラディンによって殺されることなく、紳士的に扱われ無事に解放されたそうです。

この映画を見て、十字軍の非道な行為には嫌悪感を抱きました。
「神のために戦え」などと言って、司祭・司教が教徒に参戦を呼び掛けたのですから、
その頃のヨーロッパはどれほど荒んでいたのかと思います。
それだけでなく「異教徒を殺すのは神の道」などと言っていて、単なる野蛮な団体です。
それをボードゥワン4世の信頼関係から許していたサラディンは英雄と称えられるのも当然だと思う。
ボードゥワン4世は、らい病で若くして亡くなってしまいました。
仮面をかぶっていて表情はわからなかったけど、その心労は大変なものだったことでしょう。



主演のオーランド・ブルームが演じたバリアンですが、かなり美化されていると思います。
絵にかいたような理想の人物で、その人物よりこの歴史的事実のほうがよっぽど刺激的でした。

先日観た“トロイ”でも人妻をトロイに連れ去っていたけど、
この作品でもエルサレム王国の王女であり夫のいるシビラ(エヴァ・グリーン)と恋仲になっていました。
しかし、この作品では英雄を熱演していたので、“トロイ”での情けない役からの名誉挽回ですね。

この作品は、歴史の勉強に非常にためになった作品でした。
オーランド・ブルームもかっこよく描かれていたので、オーランド・ブルームファンの方にもいい作品でしょう。