リフレッシュの時間

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“靴に恋して”(原題:PIEDRAS)

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“靴に恋して”(原題:PIEDRAS/STONES 2002年 スペイン)を見ました。

 

この映画、ジャケットがなかなか印象的で、前々から気になっていた作品でした。

 

ところが、実際に観てみると、
タイトルとDVDのジャケットからイメージする内容とは全く違って、シリアスな深い話でした。

 

調べたところ、原題の“PIEDRAS”はスペイン語で“石”という意味だそうです。
「人生のいたるところに転がって人をつまずかせる小さな障害。」

 

どおりで・・・!邦題はダメですね、こんなタイトルでは誤解を与えます。
単にたくさん靴が出てくるというだけで、“靴に恋して”のタイトルはあまりに安易です。
そんなキレイごとな話じゃないですし、恋愛物でもありませんしね。。


この作品、群像劇のタイプで、たくさんの女性と(少数の)ゲイ、そして男が数人出てきます。

 

スペイン映画といえば、“ボルベール”や“バッド・エデュケーション”のペドロ・アルモドバル監督を
思い出しますが、この作品も、アルモドバル監督の作品のように、「女性」が中心に描かれています。
この作品の監督はラモン・サルサールという人なのですが、スペインは太陽のような女性が理想なのでしょうか。
“絵”の色合いこそアルモドバル監督のような原色多用の色合いではなく、いたって自然な色合いでしたが、
登場する女性に関しては、共通のものを感じました。
ただ、この作品に登場する女性は、アルモドバル監督の作品に出てくるような強くたくましい女性とは
異なりますが・・・。

 

この作品で登場する女性は、靴の販売員レイレ、知的障害を持ったアニータ、
アニータの母であり売春宿を経営するアデラ、タクシードライバーのマリカルメン
マリカルメンの亡き夫の前妻との長女にあたり麻薬中毒のダニエラ・・・と、かなりたくさんの女性が登場します。

 

簡単にこの作品のあらすじをご紹介しようと思ったのですが、群像劇でかなり書きにくいのであきらめます。

 

ただ、一言でまとめると、登場人物の女性たちに共通して言えるのは、
それぞれの女性が心の中に葛藤があって、そしてそれぞれがその葛藤を乗り越えていく、
ということです。

 

例えば、知的障害を持っているアニータは、お決まりの犬の散歩道から、人や車で賑やかな大通りを
遠目に見て憧れています。
ただ憧れているだけで、その大通りに行く勇気は持ち合わせていない。
大通りを眺めている知的障害のアニータをからかっている売春婦達。
でも、とあるきっかけで、その勇気が湧き、思い切って初めの一歩を踏み出す。

 

その場面で、いつもからかっている売春婦のオバサンがアニータに小さく「頑張って」と言ったその言葉・口調に、
なんだか映画を見ている私までうれしくなってしまい、ちょっと感動しました。


とまあ、こんな感じで、それぞれの登場人物にそれぞれのエピソードがあり、
そして、群像劇ではお決まりではありますが、最後にそれらエピソードがつながっていく、というわけです。

 

ところで、この作品で登場したダニエラ役をした女優ですが、“ボルベール”で主人公ライムンダ(ペネロペ・クルス)の姉を演じていたロラ・ドゥエニャスという方でした。
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↑こちらは、“ボルベール”の画像ですが、この画像の左端の女優です。
この女優、かなりの演技派のようです。“ボルベール”の時との雰囲気がまるで違っていたので、初めはその人だとわかりませんでした。でも、この人、“トーク・トゥ・ハー”にも出ていたようです。たぶん看護婦役の人。

 

それから、レイレという靴販売員(兼ダンサー)の役をしていた女優が、かなり印象的で素敵でした。
ナイワ・ニムリという女優です。
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この女優、とても印象的な目をしていて魅力的だったのですが、バスク人とヨルダン人のハーフだそうです。
(やっぱり、ハーフは美人なのですねぇ。)
映画では、笑顔もかわいくて、こんな画像よりずっとキレイでしたよ!!


映画の最後には“いい言葉”があって、見終わった後は「よかったわー」と思える、いいお話でした。