リフレッシュの時間

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“大いなる遺産”

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原題:Great Expectations 製作年度:1997年 製作国:アメリカ 上映時間:110分
監督:アルフォンソ・キュアロン
出演:イーサン・ホークグウィネス・パルトローハンク・アザリアクリス・クーパーアン・バンクロフト
    ロバート・デ・ニーロ、ジョシュ・モステル、ジェームズ・キスナー、ラクエル・ボーディン

久しぶりに映画観ました~。
“大いなる遺産”(1997年 アメリカ)です。
この作品一度は観たことあるのですがその際に雰囲気がとても好きになったので、今回はDVD購入しましたよ。


この作品、チャールズ・ディケンズの名作“大いなる遺産”を現代版にリメイクした作品です。

主人公は、イーサン・ホークが演じるフィン。
両親を亡くし、姉のマギーとその恋人のジョーに育てられ貧しい生活だが、絵を描く才能に恵まれている。
そして、グウィネスが演じるのは、そのフィンの幼なじみのエステラ。
資産家の家に育つが、愛を裏切られ全ての男を恨み精神的におかしくなったディンズムア夫人に育てられる。
この作品で、キーパーソンとなるのがロバート・デ・ニーロ演じる脱獄囚である。

この作品、一言で言ってしまうと、貧しい家に生まれるが優しい心を持つフィンの人生を追った作品なのですが、
その人生の中で、憧れや夢を追い、その果てに欲望や名誉を求め、
それに溺れて本当に大切なもの(心の優しさ)を失う・・・
そして、そもそも自分の自信となっていた根拠の真実を目の当たりにして、落胆する。
と言った、普通の人が持ち合わせている、ある意味、人間臭いところがすべて描かれていて、
その上で、私達“人”にとって「本当に大切なものって何?」と気づかせる作品だと思います。

この作品を観て、感動する場面は個々人によってそれぞれだと思うのですが、
私がもっとも感動した場面は、
フィンが初めて開いた個展の初日に、招待状を送ってもいない育ての親のジョー(クリス・クーパー)が現れる。
個展も、個展を見に来ている人たちもファッショナブルでセンスのいいニューヨーカーたちで、
みなオシャレに会話しているのに、フロリダから来たジョーは、ダサい貸衣装に身を包んで、
「フィン!おめでとう!」と感情を表に出して興奮気味である。
そんなジョーを、フィンは、自分のダサい面を見られるかのように思い、ついジョーに冷たく当たってしまう。
ジョーはまずは自分の非を謝り、そして言った言葉が「俺は昔からずっとお前のことを誇りに思ってきたよ。」
名誉などで自分を見失っているフィンに、嫌味ではなく、ただ愛情を持ってその言葉を投げているのです。

ジョーの優しさに胸を打たれました。
(やっぱり、クリス・クーパー、いい演技でいい味出してます。もはやこの俳優、大好きになりつつあります。)

この作品、DVDのジャケット後ろに「ラブストーリー」と書かれていますが、
フィンとエステラの純粋なラブストーリーではありません。
登場人物の心の動き、それも人間の嫌な面をも忠実に表している作品だと思います。
その心の動きを観察するほうが、面白いと思います。


また、この作品、終始にわたって、雰囲気がいいです。
私の大好きな色、グリーンを基調として描かれていて、
音楽もその場面に合わせてジャズやらロックやら色々です。
個人的には、気のおかしくなったディンズムア夫人がダンスしている
「♪ベサメ、ベサメム~チョ~」という曲がかなり印象的でした。

改めて「本当に大切なもの」を気づかされるいい映画です。