リフレッシュの時間

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『エデンの東』

ジェームズ・ディーンの顔と名前は知っていましたが、映画を見たのは初めてです。
 
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原題:EAST OF EDEN  製作年度:1954年 製作国:アメリカ 上映時間:115分
監督:エリア・カザン  原作:ジョン・スタインベック  脚本:ポール・オズボーン
出演:ジェームズ・ディーンジュリー・ハリスレイモンド・マッセイ、リチャード・ダヴァロス、
 
【あらすじ】  ネタばれあり
1917年のカリフォルニア州モントレーのある資産家の婦人の後をつける青年がいた。婦人は気味悪がるが、彼は、ただ「会って話がしたい」と訴える。婦人との面会は拒絶され、彼は列車に無賃乗車してサリナスに帰る。
 
サリナスでは、農場を営む厳格な父アダムレイモンド・マッセイとその青年キャルジェームズ・ディーンとその兄アロン(リチャード・ダヴァロス)が暮らしていた。アダムは、昨夜帰宅せず詫びの一つも言えないキャルに苛立つが、キャルはただ黙って、父とその友人の商談を立ち聞きしていた。
 
レタスを氷で冷却して保存してニューヨークで売るという事業を考えたアダムは、それに夢中で取り組んでいるが、キャルは倉庫からその氷を大量に投げ出して不満を表す。父アダムからそんなことをした理由を尋ねられても「分からない」と答えるキャル。兄が席を外した後、キャルは、父に自分の母について質問する。母がどこにいるのか、どうして出て行ったのか。
父の回答に納得できないキャルは、再びモントレーの売春宿の奥に向かい、例の婦人に直接「話がしたい」と訴える。その売春宿は、その婦人が築いたもので、その婦人は、噂通り、幼い自分たち兄弟を捨てた母だった・・・。
 

【感想】
心の深い所を突かれました。母からも父からも愛情を与えられない青年の苦悩が描かれていました。
 
キャルは父から気に入られたい一心で、父の作った損失相当額を、戦争による豆の値上がりで稼ぎその儲けたお金を父にプレゼントするのですが、その時に父から「心のこもったものがほしい。戦争で儲けた金なんて・・・」と拒まれたときのキャルの表情が頭から離れません。キャルの思いが分かるだけに心をもぎ取られるような心境がしました。
あの場面での兄のアロンは憎たらしかったな~。キャルの様子を見て婚約を発表するなんてね。嫌な奴。
 
キャルは、繊細で、危なっかしいのだけど憎めず、アロンの恋人が彼をほっとけない気持ちが分かります。
 
上に書いた以外にも、強く印象に残る場面がいくつかありました。
酷い仕打ちをした兄への仕返しに、兄を母の元へ連れて行き、売春宿を経営している母にアロンはショックを受け、自暴自棄になり即刻軍隊に入隊。そのショックで父は倒れ、落ち込むキャルに、父の友人が「カインはアベルを殺し、エデンの東に追放された。君もエデンの東に行くべきだ。」と告げる場面。
これもちょっと酷い。キャルの外の姿しか見ないで酷いことを言い放って、本当にキャルがかわいそうです。
 
だからこそ、最後の場面は、救われました。父のアダムがキャルに傍にいてくれるようお願いする場面です。
このラストだからこそ、この映画はいい後味を持って終わることができたと思います。
 
親子関係、兄弟への嫉妬、(父)親へのひたむきな愛情を描いた深い作品だと思います。