リフレッシュの時間

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ボルゲーゼ美術館展

東京都美術館で4月4日まで開催中のボルゲーゼ美術館に行ってきました。

ボルゲーゼ美術館とは、ローマの北東部にある美術館で、
名門貴族のボルゲーゼ家が収集した美術作品を展示している美術館です。
ご参考:ボルゲーゼ美術館HP

美術作品は、ルネサンスバロック美術が中心です。

この美術展では、いくつか発見がありました。

最も大きな発見は、ベタですが
大々的に宣伝されている『一角獣を抱く貴婦人』ラファエロ・サンツィオ(1506年頃)
イメージ 1この作品は、修復されて一角獣を抱く女性が描かれた作品となっていますが、修復されるまでは長いこと『アレクサンドリアの聖カタリナ』として存在していたことです。

イメージ 2「聖カタリナ」とは、キリスト教の聖人の1人で、腕に抱えている車輪はそのカタリナを殺すために皇帝が使ったとされる車輪です。
1930年代まではこの「聖カタリナ」として存在していた作品でしたが、上塗りされていることが発見され、修復作業により元の絵『一角獣を抱く貴婦人』が出現したというわけです。
「一角獣(ユニコーン)」は、“貞節”を表すそうで、作品解説には、この女性が結婚する時に描かれたものでは?とありました。

きっと信仰心の篤いキリスト教徒が、この元の絵『一角獣を抱く貴婦人』を見て買い取り、
聖カタリナに描きかえるのがふさわしいと判断したんでしょうね。いわゆる「リメイク」ですね。

たった一枚の絵ですが、その絵にはその時々の所有者それぞれのいろんな思いが込められていたのですね。

こんなふうにリメイクされていた他の作品も見てみたいです。



他にも、この美術展は面白い作品がいろいろとありました。

(ここから先は画像がないので、わかりにくくて申し訳ないですが、)
美術展の初めに展示されていた作品のモザイク画では、パッと見、筆で描いたのとわからないようなくらいの細かさで「本当にモザイク画なのか?」とよく目を凝らして観てみると、確かに非常に細かい精密なモザイク画でした。スーラなどの点描画に似ているようと感じました。
モザイク画家は、画家であると同時に職人だったということですね。

最も愉快に描かれていると思った作品は、ヤコポ・ズッキアメリカ大陸発見の寓意』(1585年頃)です。
作品のタイトルどおり、アメリカ大陸発見を祝って、アメリカ大陸を想像して描かれたものだと思うのですが、
そこには、海の中に浮かぶ島々に、白人も黒人も関係なく、
みな笑顔でサンゴを身につけている姿が楽しそうに描かれていました。
人間の赤ちゃんの隣に、その赤ちゃんと同じような体勢でサンゴの首飾りをしたサルがいて、面白かったです。

その絵から、アメリカ大陸が発見されたときヨーロッパの人々がその発見に大喜びしていたのが想像できました。

他にも、ヴェロネーゼという画家の『魚に説教する聖アントニオ』(1580年頃)という作品は、
聖アントニオの尊い説教に魚が集まってきてその説教を聞いているという絵で、
崖の下の海に、多くの魚が群がっている様子が面白かったです。
尊い」ということを描くための想像力が面白いですよね。



バロック画家代表のカラヴァッジョの作品『洗礼者ヨハネ』では、
洗礼者「ヨハネ」というより1人の生身の青年という部分が色濃く出た作品でした。

同じ宗教画を描いても、ルネサンスバロックでは全く異なり、勉強になりました。
ルネサンスからその後のバロックに至るまでの絵画の変化・流れを知ることができ、良かったです。

私は、美術史の中では印象派後期印象派あたりが最も好きなのですが、そことの決定的な違いは、ルネサンスバロックの絵画は、その一つ一つに込められているメッセージの大きさだと感じました。
この時代は足を踏み入れると、非常に深~い世界なんでしょうね!



ボルゲーゼ美術展の後に、常設展が無料で開放されていた国立西洋美術館に行きましたが、
ピカソなどの20世紀美術、印象派などの作品を観て、なぜだか心がホッとしました。

ルネサンスの時代は嫌いではないのですが、まだまだ未開分野なので、
多くの作品を観ているうちに知らない間に気が張っていたようです。

でも、知らないことがたくさん知れて、楽しかったしよかったです♪