リフレッシュの時間

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“イントゥ・ザ・ワイルド”

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原題:INTO THE WILD  製作年度:2007年 製作国:アメリカ 上映時間:148分
監督・脚本:ショーン・ペン  原作:ジョン・クラカワー
出演:エミール・ハーシュマーシャ・ゲイ・ハーデンウィリアム・ハートジェナ・マローン
    キャサリン・キーナーヴィンス・ヴォーンクリステン・スチュワートハル・ホルブルック

【作品内容】
実話に基づく話です。

1992年夏、アラスカの荒野の、捨てられたバスの中で、若い青年の死体が発見された。
彼の名は、クリストファー・マッカンドレス(享年24歳)。

彼は、裕福で何不自由ない家庭で育ち、家族は両親と妹が1人いた。
頭脳明晰で、大学も優秀な成績で卒業し、将来も約束されていたも同然だった。

大学を卒業した頃、彼は、自分の責務は果たしたとばかりに忽然と姿を消した。
「真理を追究するため」荒野への旅に出たのだった。

彼は、自分の名前をアレグザンダー・スーパートランプ(Alexander Supertramp)と名乗り、
アリゾナ州カリフォルニア州、メキシコ、サウスダコタ州なとありとあらゆる地を転々としながら、
そして数々の人々と出会い、別れながら、最終目的地のアラスカを目指した。

アラスカの荒野に辿りついたのは、厳しい寒さの冬。
雪の中、捨てられているバスを見つけて、その「不思議なバス」で月日を過ごすこととなった。

完全な孤独というこの状況下で、彼は何をし、何を考え、その思考の果てにどういう結論に至ったのか。



【感想】
1人の青年の冒険、生きざまに正面から向き合った非常に真面目な作品です。
徒歩&ヒッチハイクで冒険するだけあって、アメリカ大陸の広大な大地を見ることができます。

エミール・ハーシュの演じるこのクリストファー・マッカンドレスという人物は、
頭脳明晰で、性格も明るく朗らか。若い情熱に満ち溢れ、どこまでも真理を追究する人物。
真実にこだわるあまり、虚偽に満ちた社会や人間関係を酷く嫌悪し、
そのため、両親の結婚のエピソードに関し両親が嘘をついていたことも許せない。

人間関係や物は、虚偽や猜疑心を生み出すものと考え、人も物もない荒野に憧れを抱いた。
その荒野で、徹底的に自分の精神を極限まで追い詰めることで、『真理』を導こうとした。

行く先々で出会う人達から、「頭でっかちになるな」と諭されたり、
「家族はあなたが今どこにいるか知っているの?(家族の気持ちにもなって)」と言われたり、
「アラスカ行きをやめてほしい」と説得されたりもしたのだが、頑としてアラスカにこだわった。

そこまでして彼の求める『真理』とは一体何なのか?

自分以外の誰も存在しない荒野での生活を「完全なる自由」だと心から喜んでいたが、
はたして本当にその通りだったのか。



彼のアラスカへの旅は、普通の冒険とは全く違う。なぜなら、計画性がないからだ。
冒険は、入念な計画を立てた上でしなければ命にかかわるリスクを伴うが、
「自由気ままな旅は気分を高揚させる。どこか“逃避”を思わせるからだ。」
という彼の言葉からわかるように、彼は計画なしに冒険をした。

そのため、彼の死は当然の結果だと思う。
この映画を見ながら、彼の(若さゆえの?)情熱はわからなくはないが、
彼の人々に対する考え方・言動には全く共感できず、単なる傲慢な若者に見えた。
彼に良くしてくれた人々のどんなアドバイスにも全く耳を傾けようとせず、
頑なに自分の考えにこだわり、曲げなかった。それが彼に死をもたらしたのだと思う。

作品中のある場面で、ある老人が真剣に彼に忠言した、
「許せる時が来たら、愛せる。愛せた時に、神の光が君を照らす。」
クリストファー・マッカンドレスは、その真剣な言葉に、
「クソすげえ!!」と返した。

彼の真意はどうであれ、私は、この主人公を最後まで好きになれなかった。
なので、この作品を絶賛する声もあるようだけど、
私には単なる後味の悪い作品にすぎませんでした。