リフレッシュの時間

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“ミスティック・リバー”

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【作品の内容】
仲良しの3人の少年、ジミー、ショーン、デイブは、ある日いつものようにいたずらしていると、
そこへ威圧感のある男が現れ、そのいたずらを怒り、デイブだけを車に乗せて連れ去っていった。
デイブは4日間監禁され、その男ら2人から暴行を受け、なんとか自力で逃げ出した。

それから数十年、彼らはそれぞれ大人になり、家庭を持っていたが、仲もすっかり疎遠になっていた。
そこへジミーの娘ケイティが殺されるという不運な事件が起きる。

その事件を通して、ボストン市警のショーンは事件解明に全力を注ぐが、
殺された娘の父親であるジミーは、警察よりも早く犯人を見つけ出し自分の娘の仇を討つことを心に誓う。
その一方で、事件当日、「何ものかに襲われた」と言って血まみれで帰宅したデイブ。

子を殺され、悲しみに打ちひしがれながらも犯人への憎しみを募らせていくジミー。
いったい誰がケイティを殺した犯人なのか。

結局、最後まで誰が犯人かわからないまま、観る側も市警と一緒に推理しながら話が展開していきます。



  ネタばれあり。


少年時代から悪そうな顔つきをしていたジミーが、強盗などで刑務所に入っていたなど大人になっても
ワルな感じ(チンピラ風)で、娘のために一時は悪の道から足を洗ったとは言え、
結局、他の事件でも人を殺していたというのには妙に納得してしまいました。
雰囲気から滲み出る「悪そうな奴」というのをショーン・ペンは見事に醸し出してました。

デイブは、ティム・ロビンスが演じていますが、
少年時代にも屈辱を味わわされたあげくに、大人になっても不運なために
酷い疑いをかけられて、妻にも疑われ、挙句にあの顛末ではさすがにかわいそすぎます。

この原題“MYSTIC RIVER”は、直訳すると『神秘の川』だと思うのですが、
この川にジミーの犯した罪や秘密やらが流されて隠されていて、そう思いながら、最後のシーンで映されていたあの川を思い出すと、決してきらめいてもいなかったし、明るいものは全くなかったです。深い紺色に淀んで、ゆったりと流れていて、悪もすべてありとあらゆるものを包含している川のように思いました。



俳優陣では、ショーン・ペンがこの作品でアカデミー賞主演男優賞を獲得して話題になりましたよね。
そのショーン・ペンの神経質そうな雰囲気が苦手で今まで観ずにいましたが、
今回観てみるとやっぱりショーン・ペンの迫真の演技に、圧巻でした。

最愛の我が子を殺された悲劇の父親役を、真に迫った演技で見事に演じていました。
それより、このショーン・ペンの奥さん役をローラ・リニーが演じていたなんて!
ローラ・リニーはかなり好きなので、登場しただけでうれしくてテンションあがりました(笑)。

それから、“マトリックス”ローレンス・フィッシュバーンもボストン市警役で出ていて良かったです。
ローレンス・フィッシュバーンは結構好きです。“マトリックス”のときの『モーフィアス』もかっこよかったですが、
今回も事件に関わる人が全員知り合いであるために私情が入ってしまう市警のショーン(ケヴィン・ベーコン)に渇を入れていました。

マーシャ・ゲイ・ハーデンもいいですねぇ。デイブの奥さん役でした。
以前観た時は、“ジョーブラックによろしく”で、気の強い頑張り屋のお姉さん役を演じていましたが、今回は、内気で物静かな主婦役で、「デイブが犯人なのかしら・・・」と、自分の夫にかなり怯えた主婦を演じていました。

話の結末から言うと、彼女が一番かわいそうだったかも。
そういう意味で、同じ主婦でもローラ・リニーの演じていた役は凄いですね。肝が据わっているというか、
簡単に人を殺す夫に対して「あなたは正しいのよ」などと言いのけていて、驚きました。
夫が人を殺したことがあると言ってきたら、私だったらすぐさま離婚ですけどね。一緒にいるのが怖いです。

この映画、後味はあんまりよくないかもしれません。
映画の最初から最後までずっと暗かったですが、結末がわかった後も嫌な感じが残りました。
ショーン・ペンの演技は確かに見る価値あると思いますが、それ以外はどうなんだろう。
クリント・イーストウッド監督の作品はどれも好きだけど、この作品だけは好きになれそうにないです。