石油を発掘することを商売とし、凄まじいまでに権力と富を求めた
ダニエル・プレインヴューの壮絶な人生を描いた作品です。
ダニエル・プレインヴューの壮絶な人生を描いた作品です。
原題:THERE WILL BE BLOOD 製作年度:2007年 製作国:アメリカ 上映時間:158分
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:ダニエル・デイ=ルイス、ポール・ダノ、ケヴィン・J・オコナー、キアラン・ハインズ
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:ダニエル・デイ=ルイス、ポール・ダノ、ケヴィン・J・オコナー、キアラン・ハインズ
この映画のタイトル、どんな訳がふさわしいでしょうか。
“BLOOD”に、あまりに色んな意味が込められていそうで、私にはふさわしい訳が見つかりません。
“BLOOD”に、あまりに色んな意味が込められていそうで、私にはふさわしい訳が見つかりません。
家族はまだ5,6歳の子どもが一人いるだけで、
客にはその子のことを「ともに事業を経営している」と言い、人々の同情を買ってうまく利用しています。
客にはその子のことを「ともに事業を経営している」と言い、人々の同情を買ってうまく利用しています。
とはいえ、石油の発掘事業は常に命の危険が隣り合わせ。
ましてやこの時代となると道具も簡単に壊れそうなもので、
普通のバケツで原油を運び、それを汲みだす大きな井戸のような機械もすべて木製。
時に、支えている木の柱が重さに耐えきれず折れることもあります。
ましてやこの時代となると道具も簡単に壊れそうなもので、
普通のバケツで原油を運び、それを汲みだす大きな井戸のような機械もすべて木製。
時に、支えている木の柱が重さに耐えきれず折れることもあります。
仲間が死のうが、彼は石油発掘事業にますますのめり込み、ある時、石油が地下に眠るという情報を得ます。
すぐさまその地へ息子とかけつけ、自分の目でそれを確かめたプレインヴューは、
大きな油田が眠ることを察し、迅速にその土地一帯を買い取り、地元民に協力を訴えます。
そこに現れるその地の若い新興宗教の牧師イーライ。
彼を“リトル・ミス・サンシャイン”のポール・ダノが演じていますが、独特な気味の悪い牧師役を熱演しています。
すぐさまその地へ息子とかけつけ、自分の目でそれを確かめたプレインヴューは、
大きな油田が眠ることを察し、迅速にその土地一帯を買い取り、地元民に協力を訴えます。
そこに現れるその地の若い新興宗教の牧師イーライ。
彼を“リトル・ミス・サンシャイン”のポール・ダノが演じていますが、独特な気味の悪い牧師役を熱演しています。
牧師イーライは、この石油発掘を利用して自分の名前を世間に広く知らしめようと企んだり、事業経営者のプレインヴューに寄付金5000ドルをしつこく求めたり、とても牧師と思えるような人物ではありません。
彼の宗教活動も、「悪魔よ、去れ!!!」などと叫びまくる芝居で、素朴な人々をだまし暗示にかけている宗教活動で、
見ていて吐き気を催してくるほどうさんくさいものです。
彼の宗教活動も、「悪魔よ、去れ!!!」などと叫びまくる芝居で、素朴な人々をだまし暗示にかけている宗教活動で、
見ていて吐き気を催してくるほどうさんくさいものです。
もちろん、頭がよく回るプレインヴューはそんな牧師の思惑はお見通しで、
さらにその上を行く行動をしているのですが、彼ら2人の因縁対決は、話の最後まで続いていきます。
さらにその上を行く行動をしているのですが、彼ら2人の因縁対決は、話の最後まで続いていきます。
ある日、いつも自分のそばにいた息子が、油井の爆発事故で聴力を失い、
読み書きのできない息子とは、これがきっかけでコミュニケーションをとることができなくなります。
いったんは息子を手放すプレインヴュー。
読み書きのできない息子とは、これがきっかけでコミュニケーションをとることができなくなります。
いったんは息子を手放すプレインヴュー。
ときに息子を思う父としての優しさが見え隠れするような気もするが、
しかし、この人物に優しさなんて皆無だと思わせるくらい冷徹な心が息子への態度にも表れているときもあって、
私たち観客も彼の人柄に疑問を抱くと思います。プレインヴュー自身も色々と揺れ動いているのでしょう・・・。
しかし、この人物に優しさなんて皆無だと思わせるくらい冷徹な心が息子への態度にも表れているときもあって、
私たち観客も彼の人柄に疑問を抱くと思います。プレインヴュー自身も色々と揺れ動いているのでしょう・・・。
この作品は、物語の描き方、演出が凄いです。
作品の初めは音が全くなく映像だけが流れるシーンが続いたかと思えば、
さらにはバックにずっと流れるメロディともいえないバイオリンの不協和音・・・
色の乏しい殺風景な風景に、赤々と燃え盛る火の柱を映し続けていたり。
この炎は、おそらくプレインヴューの心の中で燃える欲望を描いているのだと思います。
決して絶えることなく、求め続ける欲望。
タイトルの“BLOOD”は富、権力となる石油を指しながら、また、欲望に燃えたぎるプレインヴューの血を指しているのだと思います。
彼の血は、欲望だけでなく、冷酷、非道といった悪という悪を持つ血です。
彼の中にわずかな良心はあるとは思うのですが、その良心のかけらも、話が進むとともに(彼が年を重ねるごとに)消えていった気がしました。
この炎は、おそらくプレインヴューの心の中で燃える欲望を描いているのだと思います。
決して絶えることなく、求め続ける欲望。
タイトルの“BLOOD”は富、権力となる石油を指しながら、また、欲望に燃えたぎるプレインヴューの血を指しているのだと思います。
彼の血は、欲望だけでなく、冷酷、非道といった悪という悪を持つ血です。
彼の中にわずかな良心はあるとは思うのですが、その良心のかけらも、話が進むとともに(彼が年を重ねるごとに)消えていった気がしました。
牧師イーライとの汚い心のやりとりや、後半で思わぬ展開があるなど、強弱のついた話の内容ですが、
全体を通して一貫して暗いです。その描き方も暗いし、それだけに俳優の演技が一層映えるのかもしれません。
全体を通して一貫して暗いです。その描き方も暗いし、それだけに俳優の演技が一層映えるのかもしれません。
本当に登場人物の心理描写は凄いと思います。
プレインヴューや牧師イーライの卑しい心を見せつけられて、
人はここまで人として堕ちることができるのかと思うと悲しい気持ちになりました。
プレインヴューやイーライをこんなふうにさせたもの(原因)は一体何だったのか?
いくら権力や富を得ても、あんな精神では何も幸せになれず、見ていて痛々しいほどでしたが、
何より本人が最もつらいのではないかと思います。
そう考えると、『幸せ』とはいったい何なのだろうと思います。
やはり、モノ、権力、カネが『幸せ』の鍵ではないということを痛感させられる話でした。
何より本人が最もつらいのではないかと思います。
そう考えると、『幸せ』とはいったい何なのだろうと思います。
やはり、モノ、権力、カネが『幸せ』の鍵ではないということを痛感させられる話でした。