これはぺネロぺ・クルスの演じる貧しくみすぼらしい女性に、主人公の医者ティモーテオが恋してしまう話です。
この映画は不倫の話なのですが、見た後の後味はあまりいいものではなかったです。
まず、ぺネロぺが演じている女性が、本当に貧乏な過酷な生活を強いられている不遇な女性で、外見も長いことお風呂にも入っていないような風貌でした。日本で言うならホームレスのような人々です。家はありましたけどね。外国映画ではこのような貧しい人々が描かれることがたびたびありますが、これは実際にそのような極度の貧困層の人々が多いということでしょうか。
以下、ネタばれあり。
そんな女性に、お金も地位も美しい妻も何もかもを手にした医者が恋してしまうと言う話です。とはいえ、やはり後味が良くないもう一つの原因は、この医者のぺネロぺ演じるイタリアという名の女性との出会いが、レイプだったということ。加えて、医者とイタリアが愛人関係になったのちに二人の間にできた子どもを、イタリアが一方的に堕胎するということ。それも病院ではなくそんじょそこらへんの不衛生な近所のおばさんの手で・・・。その堕胎した後イタリアのダンスが、気の狂ったような様子で、見ていて気持ちのいいものではありませんでした。その果てに、イタリアはその不法な堕胎により病死するということ。
何一つ明るい要素が無かったですね。イタリアの境遇があまりに過酷でそのことが脳裏に焼き付いて、医者のイタリアへの思いなどにはあまり共感できませんでした。恵まれない境遇に生まれると、死ぬまで恵まれないということでしょうか。ここまで過酷な境遇の女性を演じ切っていて、いつもの美しいぺネロぺとは全く違う人物かのような演技をしているぺネロぺに拍手です。