サンドラ・ブロックがこの映画でアカデミー賞主演女優賞を受賞しましたね。
原題:THE BLIND SIDE 製作年度:2009年 製作国:アメリカ 上映時間:128分
監督・脚本:ジョン・リー・ハンコック 原作:マイケル・ルイス
出演:サンドラ・ブロック、クィントン・アーロン、ティム・マッグロウ、キャシー・ベイツ、リリー・コリンズ、ジェイ・ヘッド、レイ・マッキノン、キム・ディケンズ
どうせお涙ちょうだい系なんだろう、もしくは、よくありがちな熱いヒューマンドラマに違いない・・・などと思って見始めたら・・・・・・。案外良かったです。アメフト選手マイケル・オーアのプロ選手になるまでの物語です。
【あらすじ】
マイケル・オーアは、スラム街で育ち、8歳の頃母親から引き離され、里子として転々として過ごした青年。その大きな体でアメフト選手を見込まれて高校入学したものの、授業にも追いつけず、どこか上の空で日々を過ごしている。
一方、飲食チェーン店のオーナーを務める夫を持ち、自身もインテリア家具を売るリー・アン(サンドラ・ブロック)は、かわいい子どもだちと、豪華な邸宅で、物に恵まれ、何不自由ない生活をしていた。
ある雨の夜、リー・アンたちは、寒い中Tシャツで凍えながら歩くマイケル・オーアと遭遇する。こんな夜にどこへ向かうのか尋ねると、体育館へと答えるマイケル。さらにその理由を訊くと「寒さをしのぐため」と。貧困とは無縁の上流階級で暮らしてきたリー・アンだったが、とっさに彼を自分の家に泊めることを決める・・・。
【感想】
「街のあっち側に行ったことある?」
映画の中で登場する上流階級の奥さま方の会話です。上流階級だとわざわざ貧困地区に行かないし、むしろ危険なので避けていることでしょう。通常なら接点もないし、そんな貧富の差の問題も自分たちには関係もないし、敢えて目を向ける必要もない。せいぜい慈善活動の対象、それぐらいの意識です。
リー・アンは、それまではそんな彼女たちと同じような価値観だったかもしれない。でも、マイケルと出会うことによって、自身の価値観が変わっていきます。寝場所も無い彼を助けたところから彼女の人生が変わったわけです。一見、金持ちの偽善的行為なのに、リー・アンの気持ちがそうでなかったからか、偽善には思えませんでした。そのあたりはサンドラ・ブロックがうまく好演しているからかもしれない。
たまたま出会った貧民街の黒人を拾って、家で暮らさせて、そのうち自分たち家族の大好きなアメフトの選手として育てようと必死になり、そのための大学入学のための家庭教師(キャシー・ベイツ)をつける。そして、彼らの後押しを受けたマイケルは、リー・アンたちが熱狂的に応援する出身大学、ミシシッピ大学に入学。
傍から見るとこの行為は、ある富裕層が、貧しく恵まれなかった少年にサクセスストーリーを与えるというなんとも自己満足的な行為にも思えます。でも、そうではないということが伝わってくるのがこの映画の凄いところかなぁ。たぶん善意であるというのが伝わってきます。だからと言ってリー・アンが素晴らしい人間だと思わせるわけでもなく、彼女とマイケルとの間で起きた出来事がただ綴られ、彼女も本当の意味での幸せを見つけ、いい塩梅にそれらの歯車が噛み合って、結果マイケルは成功した、と感じました。
これが実話ということですが、これは、両者ともに運が良かったんでしょうね。普通ならマイケルはあっちの世界からそう簡単には手を切れないでしょう。そういう話をいくつも映画で見てきた気がする。