リフレッシュの時間

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“その名にちなんで”

インド映画開拓の一環で、こちらの映画を観ました。
前回観たインド映画“モンスーン・ウェディング”と同じ監督です。

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原題:THE NAMESAKE 製作年:2006年 製作国:アメリカ・インド 上映時間 : 122分
監督:ミーラー・ナーイル
原作:ジュンパ・ラヒリ
出演:カル・ペン、タブー、イルファン・カーン、ジャシンダ・バレット、ズレイカ・ロビンソン

これは、同じミーラー・ナーイル監督でも、“モンスーン・ウェディング”とはまた趣を異にした作品でした。

“モンスーン・ウェディンング”では、あくまでインドのパンジャブ地方でのその地域の人々のお話でしたが、
こちらは、インド人とその妻が異国の地ニューヨークに移住し、温かい家庭を築いていくお話です。
そのため、主な登場人物は、イルファン・カーン演じる「父」とその妻、「ゴーゴリ」という名の息子、娘です。

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“モンスーン・ウェディング”と、この“その名にちなんで”では、
私は“その名にちなんで”の作品のほうが好きです。
それは、“その名にちなんで”のほうが、登場人物の心の深さが伝わってくるからです。

また、異文化・育った環境による考え方の違いを味わわせてくれたことも理由の一つです。

少しネタばれします。


イメージ 3例えば、アメリカとインドを比較すると、
アメリカは何でもフランク。誰でも「友達」。

この主人公家族が身内のお葬式で悲しみに暮れているときに、
彼の悲しみを慰めようとやってきた「ゴーゴリ」の彼女(アメリカ人)が、
「悲しみはわかるわ・・・でも(気晴らしに)今度のお正月は旅行に行かない?」とか
「あなたの家族のインドでの葬儀に、私もインドに行って参加させてよ」と発言し、
「葬儀は身内の儀式だから・・・」というゴーゴリに、
「私は家族じゃないの?!」「あなたは私の家族同然だと思ってきたのよ」

彼女なりのアメリカ的発想での優しさであったり、開けた考え方なんだろうけど、
風習伝統を大切にするインド人の両親を持つインド人のゴーゴリには、
(彼は生まれも育ちもアメリカではあるものの)違和感を感じてしまう。


だからと言って、同郷だから常に分かり合えるわけでもない・・・。

順調に良い関係を築いていたはずの同郷の妻(フランス留学経験あり)には、
ピエールという名のフランス人の愛人がいて、「同胞ってだけじゃダメなのよ」と言い渡される。


人と人とが向き合って関係を築いていくって難しいことなんだなぁ~。
異文化でも同郷でも、育ってきた環境が違ってても同じでも、
血がつながっていてもつながっていなくても・・・
結局は一人一人の人間同士なんだなぁ、と感じました。

イメージ 4そして、
アメリカで育ったわが子たちが、同じような顔をしているのに、
インドで生まれ育った自分たちとは価値観がまるで違うことに、
動揺しながらも、どんなときも温かく見守っている両親の姿に、
深い愛情を感じました。

ということで、この映画は真面目で心温まる、いい映画でした。