原題:PUNCH-DRUNK LOVE 製作年度:2002年 製作国:アメリカ 上映時間:95分
監督・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:アダム・サンドラー、エミリー・ワトソン、ジェイソン・アンドリュース、ドン・マクマナス、
アダム・サンドラーと言えばコメディアンのイメージが強かったけど、こんな繊細な表情も見せるんですね。
この映画の彼は、7人の姉に囲まれた末っ子の男の子という設定で、まだあどけなさのようなものを残したまま大人になった主人公を好演していました。映画中ずっと着ているまぶしいほどの青いスーツがなぜか妙にはまっていて、画面にも映えているし良かったです。
この映画は、普通の恋愛ものの作品とはちょっと違う、アートの一面を持っている作品のように感じられました。ところどころの場面の色合い、切り取り方がおしゃれで素敵でした。俳優も、目が覚めるような美男美女がやっているわけではないのですが、どの俳優も好感持てるし、爽やかで見ていて清々しくなりました。
話としては、割とシンプルだと思うけど、主人公の心理描写が良かったと思う。その主人公の微妙な心の変化をアダム・サンドラーがいい感じで演じているのですよねぇ。彼は演技派だったのだなぁ。アダム・サンドラーは、この前私が見た『もしも昨日が選べたら』で演じていた浅はかで単純脳みその人物より、こういう複雑な精神状態を抱えている人物の役を演じているほうがいいですね。繊細さが良かったです。
さりげなく、フィリップ・シーモア・ホフマンが悪役で登場したのには驚き半分面白かったです。田舎で悪いことを企んでいるいやらしい奴なんですけど、フィリップ・シーモア・ホフマンはなんでもこなしますね。この役もはまってましたよ。
ストーリーだけを振り返ってみるとシンプルでたいしたことのないような作品に思えてしまいそうですが、登場人物の心理、主人公の心の変化、彼を取り囲んでいるお姉さんを初め職場の人々などの暖かさなどが良かったし、なにより作品全体に流れる雰囲気が個性的で、センスが良かったと思います。なかなかいい映画でした!