【あらすじ】 ネタばれなし
ニール（ロバート・デ・ニーロ）は、ネイト（ジョン・ボイト）から手に入れた“ヤマ”を狙う強盗グループのボス的役割である。信頼できる仲間、クリス（ヴァル・キルマー）らと淡々と“ヤマ”を狙っていくプロの集団だ。
その強盗グループを追うのは、仕事一筋の刑事、ヴィンセント・ハナ（アル・パチーノ）。彼は、家庭も顧みず、捜査にのめり込むタイプで、一度狙いを定めた犯人には、手段を選ばず、仕留めにかかる。
そんな彼らが出会うきっかけとなったのは、麻薬などで得た資金を投資に使って洗浄する投資家の無記名債券の強奪事件だった。新入りのウェイングローという気の短いやつを入れたのが災いし、その新入りは不用意にもその無記名債券を運んでいた移送車の警護の者を殺した。そのため、他の運転者なども殺さねばならない状況となった。無実の市民３人が殺され、その犯罪の手口もプロであったことから、ヴィンセントは敵の徹底的な捜査に乗り出した・・・。
【感想】
長かったけど、非常に見ごたえがありました。色んな場面があった。アル・パチーノと奥さんがうまくいかない関係が映される一方で、デ・ニーロがきれいな女性と出会い、徐々に二人が心を通い合わせていく場面があったり、また、この作品のメインとなっている刑事と犯罪者が向かい合う冷やっとする場面もあったりで、面白かった。
警察とデ・ニーロたち犯罪グループが接する場面が最も緊張感があって、面白かったです。
街中での派手な銃撃戦は、パンパンという銃の音の響き方が妙にリアルで、まるでその場にいるような感覚でした。それから、夜の空港で、アル・パチーノがデ・ニーロを追って、お互いに息をひそめ合う緊張感とその息遣いも、自分がその現場にいるような臨場感があって、ドキドキしました。
最も印象的な場面は、刑事のアル・パチーノと犯罪者のデ・ニーロが対面してコーヒーを飲みながら、人生についてなどを語り合うシーンです。こんなシーン、実際にはありえなさそうで、しかし、意外とありえそうな設定で、会話する二人の顔の表情を交互に見てそのそれぞれの感情を感じ取るのが面白かったです。このシーンを見ながら、演技ってお互いに影響しあいながらできていく俳優同士の個性の融合だなと感じました。
デ・ニーロとアル・パチーノ、どっちが好きかな～？と思いながら見始めたのですが、この映画を見る前は「やっぱりアル・パチーノでしょう！」と思っていたのに、途中からデ・ニーロがめちゃくちゃかっこよく見えてきて、見終わった時は、「デ・ニーロ最高ー！！」でした。
この映画でのデ・ニーロは、犯罪者でおまけに人も簡単に殺せる冷徹な人間なのに、なんなんでしょうね、生き様がかっこいいです。幸せに終わってほしかったのに、そうはならない彼の性格もまた悪い印象を抱きません。
たとえ犯罪者だったとしても、あんな男前な人物に「一緒に外国に逃げよう」と説得されたら、「うん」とうなづいてしまう彼女の気持ちも分かる・・・（笑）。
アル・パチーノも好きなんだけどな～。この映画でのアル・パチーノは、情報を得るためギャングとも日常的に取引をするガラの悪い刑事で、雰囲気もガサツで、事あるごとに怒ってるし、あまり素敵ではなかったです。それに引き換えデ・ニーロは紳士でした。紳士と言っても悪いやつですが。
デ・ニーロの仲間のクリス役だったヴァル・キルマーという俳優は初めて見たのですが、独特な味わいがあって彼もよかったです。彼もまた奥さんと最後のシーンが印象的で、なかなか胸に伝わってくるものがありました。
ということで、俳優陣も豪華で見ごたえがあるし、撮り方も臨場感があって楽しめました。
これはお勧めできる作品です。
