リフレッシュの時間

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『ギャング・オブ・ニューヨーク』

以前から常々見よう見ようと思っていた映画。劇場公開時から知っていたのに、9年経った今ようやく見ました。
 
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原題:GANGS OF NEW YORK  製作年度:2001年 製作国:アメリカ 上映時間:160分
監督:マーティン・スコセッシ
出演:レオナルド・ディカプリオキャメロン・ディアスダニエル・デイ=ルイスジム・ブロードベント
    リーアム・ニーソンヘンリー・トーマスジョン・C・ライリーブレンダン・グリーソン
    ゲイリー・ルイス、ロジャー・アシュトン=グリフィス
 
【あらすじ】  ネタばれなし
時は1846年、舞台はニューヨークのファイブ・ポインツ。
アイルランド移民たちの集団の“デッド・ラビット”と、その地に以前から住んでいると自称する“ネイティブズ”が
抗争し、決着の時を迎えようとしていた。“デッド・ラビット”のリーダーは、ヴァロン神父リーアム・ニーソン
“ネイティブズ”のリーダーは、ビル・ザ・ブッチャーダニエル・デイ=ルイスだ。彼らは宗教的にも、各々、カトリックプロテスタントで対立しており、憎しみ合っていた。雪を血で赤く染めたその闘いは、ヴァロン神父の一人息子アムステルダムレオナルド・ディカプリオの目の前で、ヴァロン神父がビルに殺され、終わりを告げた・・・。
 
アムステルダムは少年院に入れられ、15年が経った・・・。
彼はようやく釈放され、昔住んでいたファイブ・ポインツに訪れた。その地は、ギャング“ネイティブズ”のビルに支配され、皆が彼に上納金を納めていた。幼少時代の友人がアムステルダムに気づき、“ネイティブズ”の一派に引き入れる。そして、アムステルダムは、次第に“ネイティブズ”の若手の中で頭角を現し、ビルの目に留まるようになっていった。
 
アムステルダムは、絶大な権力を持つビルに自分がヴァロン神父の息子であることを隠し、統領であるビルとは表向き良好な関係を築いていたが、一方で、自分の父を殺したことへの復讐心との葛藤に苛まれていた・・・。
 
そこへ、彼がヴァロン神父の息子であることに気づいていた昔の“デッド・ラビット”のあるメンバーが現れ、彼に「おまえの親父は同胞を愛していたということを忘れるな!」とののしる。
アムステルダムは、覚悟を決める・・・。
 

【感想】
時代が南北戦争の時代で、重厚感が漂っています。おまけに160分ですからねぇ。
ギャングたちがドンパチやっている映画かと思っていたら大間違いでした。
ドンパチなんていう軽いものでは決してなく、リンカーンの黒人差別解放や、徴兵制反対運動なども絡み、真面目な歴史もののように重々しい作りでした。政治家や警察たちのギャングのボスとのつきあい方も、この時代ならではなのでしょうか。腐敗しきっていました。でも、まあ、時代が1860年代で、日本では明治維新ですからね。こんなものなのでしょう。
 
リーアム・ニーソンが一番のお目当てだったけど、映画の初めのシーンのみの登場でした。
でも、皆から尊敬され、共に闘う神父さん役で、のちのちも皆の心の中に存在している役で、良かったです。
 
何より、この映画での見ごたえある俳優はダニエル・デイ=ルイスでしょう!!
複雑な役柄でしたが、熱演。凄味がありました。本当にダニエル・デイ=ルイスって凄い!!
徐々に異常な心理状態に変貌していく様がリアルで、脱帽です。
 
レオナルド・ディカプリオは若かったです。
あの若さで、この圧倒的存在感のあるダニエル・デイ=ルイスと対抗しているのですから、
それはそれでやはり凄いということですね。新しいギャングのボスになった時もそれなりに風格がありました。
 
それにしても、映画を見ながらキリスト教徒って血に飢えている人々なのかと思ってしまいそうになりました。
映画ではカトリックプロテスタントで争っていましたけど、大昔からイスラム教とも争っていますし。
これが仏教だったら、宗派同士で戦うのかなぁと思いましたけど、どうなんでしょう。
アメリカの歴史も、戦争、戦争、また戦争、という感じで、市民は嫌だと言いながらも、戦争が欠かせない状態がこの時代から続いてきたのかと思うと、大変な国だなという感じです。「戦争なければアメリカなし」ですね。
 
以下ネタばれあり
ストーリーとしては、人物の心理描写にかなり強いインパクトがありました。
 
主人公の敵役のビルですが、彼はヴァロン神父を尊敬していて、その肖像画を掛け、亡くなった日には追悼を捧げます。その姿は、敵同士とは言え、共に闘う勇士のように見えました。
それに、アムステルダムのことをきっとかなり早い時点からヴァロン神父の息子だと見抜いていたと思う。それゆえ、日々不安に駆られて眠れなかったり、しかし時には自分の息子にしたいとさえ思うなど、かなり複雑な心境だったんだろうと思います。
 
しかし、彼が惨忍な人格に変貌していったのは、まさにアムステルダムの裏切りからですよね。あの時から、ビルは残虐で異常な精神状態へと突き進んで行きました。大事にしてきたジェニーキャメロン・ディアスに対しても、優しい一面を見せるかと思いきや、彼女を殺してしまいかねない行為をいとも簡単に行う様子は、尋常な雰囲気ではなかったです。
以前から彼の胸に常にあったという「恐怖」の存在が肥大し、彼の精神状態をおかしくしていったのでしょう。
この様子をダニエル・デイ=ルイスが熱演していますが、彼ならではの説得力ある演技で見ごたえありました。
 
最後は、このギャングたちの抗争も、みな平等に、政府による市民の大量虐殺に遭い、虚しかったです。