リフレッシュの時間

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『ソラリス』

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原題:SOLARIS  製作年度:2002年 製作国:アメリカ 上映時間:99分
監督・脚本:スティーヴン・ソダーバーグ 原作:スタニスワフ・レム
製作:ジェームズ・キャメロン 、ジョン・ランドー、レイ・サンキーニ 
出演:ジョージ・クルーニーナターシャ・マケルホーン、ジェレミー・デイヴィス、
    ヴィオラ・デイヴィスウルリッヒ・トゥクール
 
【あらすじ】
クリス(ジョージ・クルーニー)は精神科医である。ある日、惑星ソラリスを探査中の宇宙ステーションにいる、友人ジバリアン(ウルリッヒ・トゥクール)から「助けてほしい」とのビデオメッセージが届いた。
 
クリスがその宇宙ステーションに着いてみると、ジバリアンはすでに自身の命を絶ち、ステーション内にいるのは、ゴードン博士(ヴィオラ・デイヴィス)と少し変わった人物スノー(ジェレミー・デイヴィス)、そして小さい男の子だけだった。
 
クリスが事態の説明を求めるが、ゴードンもスノーもはっきりは説明しない。「あなたにも起きればわかる。」と。
 
その晩、クリスが眠りにつき目が覚めると、自分の前に、いるはずのない人物が現れていた・・・。
 


【感想】
この話、意外と面白かったです。いわゆる「宇宙人」が登場するわけではないのですが、それがかえってリアルで、実際にこんな事象が起きてそうな気さえしてきました。
 
実はこの映画『ソラリス』は、1972年の旧ソ連の映画『惑星ソラリス』のリメイクなんですね。
まあ、原作は、スタニスワフ・レムのSF小説『ソラリス』(1961年)ということですが。
未確認生物もしくは地球外生命体などの存在についてのこんなストーリーが、1960年代に作られていたということにまずは驚きです。素晴らしいことです。
 

ここからは、少しネタばれしますが、

惑星ソラリスに近づくと、どういうわけかすでに死んだはずの人物が、クリスの記憶を通して、生きていた当時のままの肉体で現れます。クリスの場合、登場したのは亡き妻レイア。彼女は精神不安定で自殺したのでした。
 
その彼女が、自分は死んだと知らずにクリスの前に突然現れる。そして、自分自身のことを当然レイア自身だと思い込んでいる。しかし、自分が過去に行った、頭に記憶されている事実を体験したという記憶がない。
そこで彼女は、自分はレイア自身でないと気づく。
 
これってとても不思議な現象です。
この、クリスの前に突然現れた存在は、ゴードン曰く「あいつら」であり、物理学的に何かを照射すると痛みもなく一瞬にして消えるという。
 
この地球外生命体(ET)についてのこの発想はとても面白いと思いました。
そして同時に、よく心霊現象などで登場するエクトプラズマみたいなのも、実はETなのかもとさえ思いました。
 
いわゆる「幽霊」とこのクリス前に現れた存在は、非常に似た存在です。どちらもすでに死んでいるのですから。
しかし、「幽霊」とこのレイアとの決定的な違いは、それが本人かそうでないかということです。
 
「あいつら」は、人間の記憶を利用してその姿かたち(クリスの場合、妻のレイア)を登場させたということで、「あいつら」自身はどこにも姿を現していません。すでに死んだ人を生きている人の記憶を通して復活させることで、復活させることができる生命体(=「あいつら」)が存在しているという事実だけを人間に知らせています。
 
これって『神』のことみたいですね。でも『神』っているのでしょうか。
最近、本屋で「神は人間が作り出した想像の産物に過ぎない」「これは科学的に証明済みである」という内容の本が売り出されていました。私は神さま(もしくは神はいなくても大きな存在)はいると信じていますが・・・。
 
まあ、少し脱線しましたが、この映画では、この存在は『神』ではなく、ETみたいな存在として描かれています。
それによく考えてみると、永遠に「死」が訪れない人間もどきを生んでいるわけだから、『神』とは違いますね。
 
話のその後の展開も面白かったです。結局のところこの映画はクリスとレイアとの恋愛ストーリーとして終わりましたが、この着想が非常にユニークで惹きつけられたので、1972年版のほうも見てみたいです。
 
こういうSF映画って好きです。