Ⅳ章の「描かれた日常生活」では、ミレーを初め、農村の労働場面を描いた画家の作品が展示されていました。
ジャン=フランソワ・ミレー(1814-1875年)
この作品は、子どもを木の下に寝かしたまま、馬鈴薯を植える農作業をする夫婦の幸せな一コマを描いた作品です。
農村の労働というと、厳しい現実をイメージしがちですが、実際には過酷さももちろんあるだろうけど、こういった温かさや、収穫に向けて種を植える希望のようなものもあるわけですもんね。
この章では、私は特に、ヘンドリック・テルブリュッヘンという画家の『歌う少年』(1627年)が良かったです。
赤い鼻をした少年が、音符の書いてある薄い冊子を見ながら、片手を挙げて拍子をとりながら歌う練習をしている姿です。ほほえましかったです。時代が違うと格好も違うけれど、歌の練習をするときの行動は、今も昔もみんな同じなのだなと思って、この少年に好感を持ちました。この少年は、合唱団に所属でもしているのでしょうか。
このⅣ章での、近代で描かれた農村の労働という日常生活が、
19世紀になると印象派によって「都市に住む市民の日常生活」が描かれるようになります。
これがⅥ・Ⅶ章の印象派の作品につながっていきます。
私が特にこのボストン美術館展で最も気に入った作品はこれでした。
『ルーアン大聖堂の正面とアルバーヌ塔(夜明け)』(1894年)
クロード・モネ(1840-1926年)
この絵は、間近で見ると、岩肌のように絵具が塗り重ねられていて、おまけに近くで見るとはっきりしない絵に見えるのですが、それが少しずつ距離をとってみると、ボワーッと絵が浮かび上がってくるのです。
その美しさは、本当に、夜が明けて、朝日が出る前の夜の暗闇からその建物が徐々に浮かび上がってくる様子そのままでした。本当にきれいでした。
他の『ルーアン大聖堂』もぜひ観てみたいものです。
このほか、私の大好きなゴッホの作品も目にすることができました。
『オーヴェールの家々』(1890年)
フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890年)
ゴッホの作品って、色使いが斬新で、おまけにグルグル描いている筆遣いも好きなのですが、観ていると不安になってくる作品もあります。しかし、この作品は眺めていると何か楽しいような気持ちになってくる明るい作品でした。
全体的に色調が明るいのと、この画像ではわかりにくいけど、中央正面にある家々の屋根の描き方も面白かったし、手前の藁ぶき屋根の家の壁が、煉瓦みたいな壁なのですがエメラルドグリーンが入っていたり、大雑把に描かれているようでしかしそれが、何かゴッホの強い気持ちなどが表れているようでした。
このときはゴッホはまだ精神状態が安定していた時期だったんですね。
モネも好きだけどゴッホも好きです。
ボストン美術館展については、書き始めたら書くことがたくさんあって止まらなくなりそうだし、記事にアップして画像を載せてもやっぱり絵をご紹介するのにはブログでは限界があると思うので、このあたりでボストン美術館の記事は終わらせていただきますね。絵画はやはり実物を見るに限ります。
次は、京都市美術館で7月6日(火)~8月29日(日)に開催されます。
本当に、一見の価値ありの名品揃いです。まだご覧になってない方は、お時間あればぜひ。