展示数80点の名作揃いで非常に充実していて、満腹状態になりました。
16世紀の宗教画から20世紀マティスまで幅広くあり、展示内容は以下の8つのテーマに分けられています。
Ⅰ 多彩なる肖像画 Ⅱ 宗教画の運命 Ⅲ オランダの室内 Ⅳ 描かれた日常生活
いや、ミレーなどがあったⅣ章も面白かったし、風景画も良かったです。どの章も外せないです。
ここでは、私が特に印象に残ったものを記しておきたいと思います。
さすが名画と言われるだけあって、圧倒的な存在感がありました。
以前から思ってはいたけど、昔の肖像画っていうのは今の写真の意味をなしているわけで、
自分の今の姿を記録しておく、または(美化して?!)後世に残す手段だったのですよね。
今調べてみると、写真が発明されたのは19世紀初め。
だから、写真発明以前の画家の仕事は、今の写真家の仕事も兼ねていたということですよね。
そう思いながらこの肖像画のⅠ章の展示作品を眺めました。
肖像画では、頭部のみ<上半身<全身の順で発注金額が高くなるそうです。当然そうでしょうね。
『ヨハネス・エリソン師』 (1634年)
レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン (1606-1669年)
ヨハネス・エリソン師とは牧師さんだそうです。
聡明なオーラが漂っていました。
対になって奥様の全身肖像画もありました。
どちらもお年寄りですが、美しかったです。
(いや、美しく描かれていました。)
本当の姿も美しかったのかは謎です。
他にも肖像画が多くあって、私は特にそのドレスのひだや細かいレースの美しさに目を奪われました。
たくさんの肖像画の中で、私が最も印象に残ったのは、エミール・ベルナールの『画家の祖母』(1887年)です。
あいにく画像はありませんが、黄色の背景に少し太ったおばあさんが、ありのままに描かれていて、顔のしわもくっきりついて、左目は見えているのかブルーかグレーに濁っていました。ただ椅子にどっしり座っているような絵だったのですが、なにか非常に惹きつけられました。普通のおばあさんだけどなんかかっこよかったです。
黄色一色のの背景も良かったのかもしれません。しかし、これが購入したカタログを観てみると、黄色の背景ではなく白色の背景になっているんですよ~!なぜ??私の眼には黄色に映ったけど、薄い黄色だったのかな。
それにしても、この写真がない時代の肖像画って、(金持ちの人は)自分が人生一番美しい、輝いていると思う時期に、その姿を描いてもらって(たまに多少美化してもらって)、悪いところもを映してしまう今の写真よりいいなぁと思ってしまいました。といっても、こんな肖像画を注文できるのはお金を持った権力者だけだろうけど。
Ⅱ章の宗教画もかなり興味深かったです。
宗教画については私は全く詳しくないのですが、今回勉強になったのは、
まず、宗教画には「華麗なヴェネツィア派」と「情念なスペイン派」があるということ。
そして、宗教画は19世紀になるとその在り方が大きく変化し、世俗化が進んだということ。
この章で私が最も印象に残った作品は、これまた画像がないのですが、
これはかなり怖かったです。ヘロデヤという女性が、洗礼者聖ヨハネの生首を持っているのですが、なんとその生首の舌を持っているんです。彼女自身も、白目をむいていて、死にかけているようでした。
今、カタログの解説を読んでみると、ヘロデヤは、亡父の兄弟であるヘロデ王と婚姻したことを叱責したヨハネに対し憤りを覚えており、ヨハネの首が彼女の前に差し出された時に、ヘロデヤはヨハネの舌を針でついたそうです。その針でつく様子を描いた作品でした。
解説には、さらに、彼女に物申すヨハネの舌を傷つけながら恍惚とする彼女の姿・・・とありましたが、
私が勝手に「死にかけている」と思った彼女の姿は、実は「恍惚の姿」だったんですね。怖い・・・。
Ⅰ章とⅡ章だけでも結構な見ごたえがありました。
長々と書いてしまったけど、しかし、なんだかんだ私はやっぱり印象派が一番好きなようです。
印象派の作品も数多く来ていて、堪能しました
長くなってしまったので、続きは次回の記事にします。