リフレッシュの時間

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“ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ”

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原題:ONCE UPON A TIME IN AMERICA 製作年度:1984年 製作国:アメリカ 上映時間:229分
監督:セルジオ・レオーネ
出演:ロバート・デ・ニーロジェームズ・ウッズエリザベス・マクガヴァンジェニファー・コネリー
    ダーラン・フリューゲル、トリート・ウィリアムズ、チューズデイ・ウェルド、バート・ヤング
    ジョー・ペシ、ジェームズ・ヘイデン、ウィリアム・フォーサイスダニー・アイエロ
 
こないだ連続で見ていた『ゴッドファーザー』がイタリア系マフィアの話ですが、
この『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』はユダヤ系マフィアの話です。
 
長編大作でした。不朽の名作と言われるゆえんは納得。
 
場面の切り替わり方など、ディテールにこだわりを感じて、観ていて面白かったです。
たとえば、印象的なのは、映画初っ端のアヘン窟にいるデニーロの近くで、ジリリリリンと電話が鳴って、
その電話が鳴り続けたままアヘン窟に至った経緯の場面に切り替わるのですが、その切り替わってからも
ずっと電話の音が鳴りやまなくて、でも何の問題もないかのようにその場面は続いていくところです。
観ていて、鳴りやまないことに不安感を覚え落ち着かなくなってドキドキしてきて、
いつこの電話の音は止まるのだろうと気になっていたら、その次の場面で電話を取る場面が出てきて、
ホッとひと安心・・・。観ている側がその映画の世界に引き込まれる作りになっていますね!
 
他にも、たとえば車のテールランプが映し出されていながら、
それが別の時代の車のヘッドライトになって場面が始まったり。
こういうディテールのこだわり方、好きです。
 
それから、全体的な雰囲気とバックに流れる音楽の調和がいいです。
テーマ曲の寂しげなメロディは、流れるだけで胸を打たれるようでした。
 
ロバート・デ・ニーロ演じるヌードルスの「少年時代」と「青年時代」、「現在」が交差しながら
物語が進んでいくのですが、その展開の仕方が非常に良かったです。
おそらく30歳ぐらいのヌードルスが、マックスら仲間を警察に売ったという事実を軸に、そこに至るまでの経緯、
なぜ売ったのか、売った直後、その事件から35年経った現在が絶妙に描かれていました。
ヌードルスは、この事件の後、ニューヨークから離れて遠くに身をひそめていたのだが、
35年経った現在に突然、不審な手紙が来たことによりその謎を解明すべくニューヨークに舞い戻ったのでした。
 
最後に至るまでその謎は全くわからなかったのだけど、病院での記念写真にずっと好きだったデボラが
載っているのを発見したのがきっかけで物語が急展開していく。このオチはさすがに驚きました。
見ごたえありましたわ。
 
登場人物の心理の描き方も非常に印象的でした。
特に、デニーロ演じるヌードルスに関しては、真意が読みとれない場面がいくつかあり、
それが観終わっても余韻として(今でも)残り続けています。
人の心は奥深く、そう単純なものではないということを見せつけられた感じです。
 
最後の場面のヌードルスのアヘン窟での不穏な笑み・・・。怖かったです・・・。
この笑みについては人それぞれ解釈が違うようですね。
私は、共に育った仲間を殺すこととなった悲愴感にアヘンが加わって、古き楽しい時代を思い出し、
その悲愴感と楽しい思い出とであのような気味の悪い笑みになったのかと思いました。
 
何回か観れば、登場人物の真意がよりわかるのでしょうか?
まあ、少し経ったらもう一度見てみたい気はします。
 
ヌードルスの相棒マックスはジェームズ・ウッズという俳優が演じていました。
マックスは、激情家の暴力的だし、傲慢なタイプだけど破天荒な夢を追っていて
どこか憎めなくて、むしろこの作品の登場人物の中では一番気になる存在でした。
彼はヌードルスに比べたらまだ単純でわかりやすいタイプですよね。
最後にヌードルスに自分の行為を詫びて、自分の殺害を依頼していたけど、
彼の思考回路はまだ想像の範疇だからか、安心して見ていられました。
この殺害依頼の場面で、昔の思い出がフラッシュバックしたとき、切なくて悲しかったです。
 
この作品がアカデミー賞を受賞していないということに驚きです。
DVDの特典映像によると、公開時に配給会社がこの作品を時間軸に並べ替えて公開したために、
アメリカでは酷評だったそうです。酷い話だなぁ!
セルジオ・レオーネ監督は、公開時「この作品の魂を抜かれてしまった」と嘆いていたとのことです。
 
しかしこの完全版については、何度見ても味わい深い仕上がりになっていると思います。
一回見ただけじゃ損かもしれません。