リフレッシュの時間

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“あぁ、結婚生活”

タイトルにいまいちセンスを感じられなかったのですが、私の好きなクリス・クーパーが主演だし、
おまけにその奥さん役がパトリシア・クラークソンなので、借りてきました。
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原題:MARRIED LIFE  製作年度:2007年 製作国:アメリカ 上映時間:90分
監督:アイラ・サックス
出演:クリス・クーパーピアース・ブロスナンパトリシア・クラークソンレイチェル・マクアダムス
   デヴィッド・リッチモンド=ペック、ティモシー・ウェッバー、 デヴィッド・ウェンハム、アンナ・ウィリアムス
 
観てみると、意外にも、夫婦の心理模様が巧みに描かれていて、かつ、話の内容も面白かったです。
 
注意:ネタばれあり。
この話は、1940年代のアメリカを舞台にした、熟年夫婦ハリーとパットの「結婚生活」を描いたもの。
彼らにはそれぞれ愛人がいて、お互いにそれを隠して仮面の夫婦を演じて生活していたが、真の幸せを追求するまっすぐなハリーは、本当の愛がある若い愛人との結婚を望み、自分を心底愛している(はずの)妻に別れを告げなければいけないことに苦悩する。挙句の果てに彼が考えだした別れの方法は殺人・・・。
 
このまっすぐで純情なハリーをクリス・クーパー演じ、自分に愛人がいることをハリーに疑わせる余地なく、完璧に良き妻を演じきっている妻のパット役をパトリシア・クラークソン演じている。
 
ハリーの心から愛する人、若くて美人な女性ケイを演じるのは、『きみに読む物語』のレイチェル・マクアダムス
そして、ハリーが信頼している親友のリチャードを『007』のピアース・ブロスナンが演じる。
 
イメージ 2このリチャードは、美人で若いケイを一目見たとたん、
何としても彼女を自分のものにしたいと思う。
ハリーとケイの結婚までに何とかしなくては・・・、と焦り、
「ケイは一人ぼっちだから、たまに彼女のところに訪問してあげて。」と言うハリーの言葉を受けて、ケイの家に何度も訪れ、デートに連れ出すようになった。
そんなことは全く知らないハリー。
 
 
私の中では、ピアース・ブロスナンは007以外に思い浮かばないのですが、この007が嫌な奴で、自分の親友の恋人であるケイを自分のものにするため、ケイには
「人の不幸の上に幸せなんて成り立たないよ、やさしい君にはそんなことできないと思うけど?」などと
人の良心の痛いところ突いたり、おまけにハリーは妻とは離婚できないということを暗にほのめかしたり、
一方では、ハリーの妻のパットに、ケイに言った同じセリフ「人の不幸の上に幸せなんて・・・」を言い、
「親友だからわかるが、」と親友の立場を利用して、「離婚すればハリーは酒に溺れて破滅する」などと言う。
 
お人よしなハリーは、まさか007がケイを誘惑しているなどとは知らず、おまけに妻に本気で愛し合っている愛人がいるなどとは思わず、妻を殺す計画だけを考え、着々とその計画を進めていく。
 
一番の見どころは、やっぱり妻が死んだか死なないかという緊張感が続く場面だと思います。
ハリーの目線に立って描かれているのだが、実行を移した日の朝はいつも以上に妻に「愛している」などと言ったり、出社する際には「すまない」とつぶやいていたりして、おまけに出社しても始終うわの空。
生きているのか気になって自宅に電話をかけてみたり、死んでほしいのか死なないでほしいのか、
彼は根はやさしい人物だから、そこらへんの感情が中途半端なのですが、しかしなぜか親近感が湧きます。
 
そうして一日中落ち着かない日を送り、自宅に帰る前にケイの家に寄ってみると、突然彼女から別れを告げられる始末。悲しみながらいったんその場を離れて戻ってみると、なぜか親友のリチャードが彼女の肩を抱いているし、もう最悪の事態です。彼の「私は、今夜すべてを失った・・・!」というセリフはまさにその通り。
彼は、悲しみに打ちひしがれながら、最後の頼みの綱である妻を失わないよう、足早に家へと向かいます。
そういう時に限って、警官に「テールランプが消えてる」云々と言われ、車を止められる。
普段の生活でも、焦っている時に限ってしょーもないことで待ちぼうけ食らわされたりするもんですよね!
 
そうこうして、なんとか家に着いてみると妻はベッドで倒れており、興奮状態を冷ますために窓を開けてみると、
そこには、上半身裸の男が自分の家の裏口から出ていく姿が・・・。すると、妻の声・・・「あなた、大丈夫?」
 
ここまで来ると、安堵感やら怒りやら悲しみやらとにかく様々な感情でぐちゃぐちゃになってしまい、
妻の「今度二人で旅行に行きましょう」の言葉が、なぜか凄くありがたく思えてくるのでした。
妻のパットも、涙を流しながらそのセリフを言っていて、夫と一からやり直そうと思ってたんだと思います。
この場面は最高にいい場面だったと思います。最も心に残りました。クリス・クーパーの演技に拍手。
 


ということで、タイトルだけ見ると変なラブコメかと思ったんですが、案外面白く楽しめた作品でした。
作品中のナレーションで「隣で眠る伴侶の心を読める人は手を挙げてください」とありましたが、
この映画を見ると、自信を持って「ハーイ 」とは挙げられないですね。
 
イメージ 3やっぱりクリス・クーパーはいいですよねぇ。
一見滑稽にも思えるこのハリーという役柄を好演していて、
愛人はいるが、真面目で誠実な人柄をよく表していました。
 
それに引き換え、007はなんなんだろう、ちょっと酷いですね。
ちゃっかりケイと結婚しているし、おまけにケイのことを「運命の相手だ」などとハリーの前でも公言しているし、それを受け入れているハリーは、大らかというか、やはりお人よしなのか、普通なら友情関係が破綻しそうですけどね。
 
ケイもケイですよね、初めは007に対してもハリーのことを「心から愛している」と堂々と言っていたのに、007に言い寄られるとフラフラしてその後簡単に007に乗り換えていて、寂しいから誰でもいいのかという感じです。誰でもいいのなら初めから妻子持ちの男性を選ぶなよと思いますけどねぇ。
まあ、こうゆう女性はどこにでもいるのかもしれませんね。