リフレッシュの時間

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“バスキア”

画家のジャン=ミシェル・バスキアの生涯を描いた作品です。

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バスキアのことは知ってはいても、彼が黒人と白人のハーフで、貧困家庭に生まれたなんて初めて知りました。
そして、このような生涯を送ったことも、弱冠27歳という若さで亡くなってしまったことも初めて知りました。



ニューヨークに生まれたバスキアジェフリー・ライト)の描く絵は、
地下鉄などにあるような落書き、スプレーペインティングから始まります。

友達のベニー(ベニチオ・デル・トロ)とは仲良しで、しょっちゅう一緒にいる。
カフェで働くウェイトレスのジーナ(クレア・フォーラニ)という美人でスタイルのいい彼女もいる。

ニューヨークという街では、誰もが「有名になること」を望んでいる、とバスキアは言う。
友達のベニーは、「有名なやつなんてバカがなるんだよ。お前は賢すぎる。」と言う一方で、バスキア
「いい服装をして有名なやつと知り合って―“社交”っていうのして、それで似たような絵を何枚も描き続けるんだ」とアドバイスする。

ある日、たまたま道端でアンディ・ウォーホルデヴィッド・ボウイ)を見かけ、バスキアは彼の後を追いかけ、ポストカードを買ってもらう。アンディ・ウォーホルは、バスキアの絵を「素晴らしい」と大絶賛。

そうこうしながら、バスキアにもチャンスが訪れた。
ついに、彼の絵が美術評論家レネの目に留まったのだ。



そして、彼は20歳にして個展を開き、多くの人から絶賛されるようになった。
と同時に、様々な雑誌・マスコミが彼を批評するようになる。
その批評は、彼の絵に対してだけでなく、バスキアの生活などに対するものも多く、
彼はそれに翻弄され、他人を信じられなくなっていった。

彼自身も、絵の売買による収入で、大金が手に入るようになり、自分を発掘してくれた美術評論家レネの元を離れ、ウォーホルもいるもっと規模の大きい画商と交流するようになり、それだけでなくベニーを初めとするそれまでの仲間や、愛していたはずのジーナとも擦れ違いが生じるようになった。

以前からタバコやドラッグを嗜んでいたバスキアだったが、その頃にはタバコ・ドラッグを手放せない状態だった。

そして、1987年、売れてからずっと仲良しだったウォーホル、
ドラッグ漬けのバスキアの身体を心配していたウォーホルが死んでしまった。

親友とも呼べる友の死をひどく悲しんだバスキアは、
急いで精神病院にいる母の元へ訪れ、母を病院から連れて帰ろうとした。
しかし、それも叶わなかった。



彼は、画家として売れたと同時に、お金は手に入れたが友と恋人は去り、
自分について語るマスコミのせいで何を信じればよいのかわからなくなり、
売れてからの理解者だったウォーホルも死んでしまった後は、もはや心の頼りはなくなった。

バスキアは、ウォーホルの亡くなった翌年、1988年にこの世を去った。
弱冠27歳。早すぎる死である。



この映画を見終わった今、何とも言えない心境です。
それは、この素晴らしい才能を、世間に知らしめることができたと同時に、
彼自身の大切なものは失われてしまい、それによって苦悩した彼は死に至ってしまったからです。

彼自身の大切なもの―古くからの友人や恋人、自分を発掘してくれた美術評論家レネを失ったのは、
バスキア自身が意図して手放したものなのか、
それとも多額のお金が手に入るようになったため必然的に失ってしまったのか、どちらなんでしょう。

美術評論家レネから敢えて大手画商を選んだのはバスキアだし、
その後バスキアの元に来たレネに対して無視に近い態度を取ったのもバスキア自身。

友人や恋人は、自然と噛み合わなくなり離れていったのかなぁ。そうだろうなぁ。



ジェフリー・ライト、熱演でしたねぇ!ホントよかったです。
ベニチオ・デル・トロもあの役、はまり役だったと思います。よかった。
クレア・フォーラニはいつ見てもかわいい。あんなにかわいいのだから、もっとたくさん映画に出てほしいです。

アンディ・ウォーホル役のデヴィッド・ボウイは、ミュージシャンだと思っていたのに、
ウォーホル役を好演していましたねぇ。俳優もできるんですね。

切ない映画でした。