リフレッシュの時間

自分の思いつくままに、好きなことを書いています

“フリーダム・ライターズ”

人種間の争いで命さえ危うい日常生活を送る高校生たちと、
彼らを変化させるきっかけを与えた女性エリンとが心を通わせていくお話―実話―です。

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原題:FREEDOM WRITERS 製作年度:2007年 製作国:アメリカ 上映時間:123分
監督:リチャード・ラグラヴェネーズ
出演:ヒラリー・スワンクパトリック・デンプシー、スコット・グレン、イメルダ・スタウントン
    マリオ、エイプリル・リー・エルナンデス、ハンター・パリッシュ、ディーンス・ワイアット

【あらすじ】(ネタばれあり)
1994年のカリフォルニア、公立のウィルソン高校に赴任してきた新米教師のエリン・グルーウェル(ヒラリー・スワンク)。彼女は、当初弁護士を考えていたが、法廷で争われるときにはすでに時遅し、そうなる前の教育の現場で子どもたちを変えたいという理想を描いてやってきた。

「差別解放」が行われたためにそれまで優秀だった生徒たちが去って、文章も読めない生徒が集まってしまった
と彼女の上司は言う。
この公立高校では、黒人、ラティーノカンボジア人系移民、白人らが通い、それぞれの人種ごとにグループをなして、決して違うグループの者とは交わろうとはせず、接触する時は殴り合いの喧嘩が起こる時だけだった。

彼らの日常生活には銃はつきものであり、人種間争いのために友人が命を落とすことも珍しくない生活だった。
彼女が受け持つこととなった203教室の生徒たちも、例に漏れず、赴任した当日から殴り合いの喧嘩が起きた。

素晴らしい理想を描いていた彼女は、事の深刻さに挫折しかけながらも、懸命に彼らと向き合っていこうとする。

文章などまともに読めず、読もうともしない彼らたち。教師に耳を傾けようともしない生徒たちに、国語教師として「詩の心を知るために」黒人ラッパー『2パック』の歌詞を紹介すると、「白人のお前に何がわかる」と言われる始末。共感を持ってもらえそうな小説を探して自費で人数分買って与えたりしながら、生徒たちに本を読ませるように彼女なりの工夫をしていった。

あるとき、ラティーノのティトが黒人ジャマルの似顔絵を描き、それをクラスに回してみんなで笑い合った。
口をデフォルメして大きく描いた似顔絵。ジャマルの手にそれが渡ったとき、エリンがそれに気づく。
その似顔絵を見て、彼女は、昔こういう同じような絵―大きな鼻をしたユダヤ人の絵を描いた人間の犯した愚かな大罪について語り始める。

口々に「白人なんか嫌いだ。」肌の色を見ただけで相手のことを「知っている」と叫ぶ生徒たち。
しかし、この日を境に、エリンはそれまで以上に熱心に彼らたちに大切なことを学ばせようとし、また彼ら生徒たちも変わり始めた。ユダヤ人大量虐殺の博物館に課外授業として訪れたり、ユダヤ人の生き残りの人に当時の話を語ってもらったり。次第に彼らも意欲的に知ろうとし、ついには、アンネ・フランクを匿ったヒースさんを高校に招くことさえ実現した。

「すべてミスGのおかげ」彼らは教師に感謝し、このまま203であり続けたいと思い始める・・・。



この作品、めちゃくちゃ良かったです!感動ものでした。うまい言葉が見当たらないですが、
エリンの努力とそれをきっかけに自分の力で変わっていくことができた高校生たちに感動しました。

ラティーノの女の子エバエイプリル・リー・エルナンデス)が、「仲間を売って」真実を法廷で語るその勇気にも感動したし、小さい子どもの頃から銃を持っているギャングの代表かのようにさえ見える黒人の大柄な男の子が、素直に“I miss Mom.”と日記に書き、勇気を出して母親に「許して」と伝える場面も感動しました。兄が終身刑を言い渡され、自己評価にFをつけたことについて「なぜFなの?!」と一方的にエリンから叱咤激励されるアンドレマリオ)の姿にも感動しました。

どの場面も印象的に残っているけど、一番好きだと思った場面は、
生徒の一人に「あなたはヒーローだ」と言われたヒースさんが「私は正しいと思うことをしただけ」
「あなたたちの日記を読ませてもらったわ、あなたたちこそがヒーローよ」と言っていた場面です。
内紛が起きている国でもないのに生きていくことさえ危うい彼らの日常生活では、本当にその通りだと思います。

観て良かったです。素晴らしい作品でした。ヒラリー・スワンクにも拍手です。