リフレッシュの時間

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“イカとクジラ”

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原題:THE SQUID AND THE WHALE  製作年度:2005年 製作国:アメリカ 上映時間:81分
監督:ノア・バームバック
出演:ジェフ・ダニエルズローラ・リニージェシー・アイゼンバーグ、ヘイリー・ファイファー、
    ウィリアム・ボールドウィンアンナ・パキンオーウェン・クライン、

イカとクジラ”(2005年 アメリカ)を観ました!
私の好きな、ローラ・リニーが出ています。

この作品は、家族をテーマにした映画です。
ブルックリンに住んでいるこの家族は、父と母が小説家。
しかも父は昔は売れたが今は落ち目の作家で現在大学教師。一方の母は、人気の作家。
その父と母の子が、高校生のウォルトと、小学生のフランク。

父親は、昔の栄光に囚われてか「本と映画を観ないものは“俗物”だ」と世間一般を馬鹿にしている高飛車な人。
わが子には自分に絶対服従させないと気が済みません。
その裏に、社会になじめないコンプレックスが見え隠れしています。

一方の母は、若干自由気ままに(?)浮気などをしているものの、ものの考え方は開けてて、
ニュートラルな人、しかも子どもへの愛情も深い人です。

高校生のウォルトは、父に洗脳されているのか、父を尊敬し、父の言葉をすべて鵜呑みにしている。
また、父の受け売りばかりで、“自分”を持たない内容の無い人間。

一方の小学生のフランクは、異常な行動をしているものの、
自分の目で人を見ることができ、善悪の判断ができるタイプ。

うーん、こういう人の集まり、案外そこらへんに居そうです。

この両親、不和が続き離婚してしまうのですが、離婚後も両方とも親権を持ち、
曜日ごとに父の家に居る日・母の家に居る日を決めて、生活を続けていきます。

フランクは、自由な発想でオープンな考え方の母のほうが好きで、母の家に居たがるのですが、
なんとしてでも父は「父の日」にこだわり続けます。
全く柔軟性を持ち合わせておらず、頑なにルールを守らせます。

本読まない人間はダメだ、と、人を馬鹿にしてばかりの父親、その父親自身が離婚原因を
「僕が食事を作らなかったからだろ。今はハンバーガーも作れる。だからやり直せないか。」
と発言をしたときには、元妻も笑っていましたが、私も苦笑でした。

でも、観ながら、こういう性格って、ここまで極端にはならなくても、
意外と普通の人でも(もちろん私でも)知らないうちに陥ってしまっていそうな思考回路だなぁ、
と感じました。つまり、こういう傾向の人ってごく自然にそこらにいると思うのです。(反面教師!)

そして、兄貴のウォルト。これも私は嫌いなタイプ。実際その本は読んだことないくせに、
尊敬する人(彼の場合、父親)が言ってた感想をそのまま受け売りする人。
母親が「まずは自分でそれを読んでみないと。」とアドバイスするのに、
「読むなんて時間の無駄だ」と反抗している。(幼稚な反抗。)

ウォルトの場合、カウンセラーに通い、子どものときの母との思い出を思い出し、徐々に変わっていきます。
彼自身が否定し続けている母親との思い出が、一番楽しい思い出だった・・・!!
そして、それまでは完全に絶対服従だった父に、勇気を出して自分の希望を言ったりするようになります。



人は、簡単に影響を受けたり、かたや、一つの視点から物事を見ることに囚われるとその姿勢を頑なに守ってしまったり、そしてそのおかげでさらに視野が狭くなったり、、、そういうものですよね、
でも、自分の足でしっかり立って、そして見開いた「自分の眼」で物事を眺めれば、おのずと真実とか善悪とかとそういう(真なる)ものが見えてくるものです。

そういう言葉が聞こえてきたような気がした作品でした。
うーん、なかなか深いテーマで興味深かったです。

アメリカ自然史博物館に行って、“イカとクジラ”見てみたいーーー!!!
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