リフレッシュの時間

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“ステップ!ステップ!ステップ!”

“ステップ!ステップ!ステップ!”(2005年 アメリカ)を観ました。

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原題:MAD HOT BALLROOM  製作年度:2005年 製作国:アメリカ 上映時間:106分
監督:マリリン・アグレロ

ニューヨーク公立小学校のドキュメンタリーです。

ニューヨーク公立小学校では、教育の一環として、社交ダンスが取り入れられています。
このダンス・プログラムは、単にダンスを学ぶというものではなく、ダンスを通して、人とコミュニケーションを図ることや、他の文化を知ることや、また、貧困地域の学校では子供達をダンスに夢中にさせることで犯罪組織の一員にならないようにするため、などの目的が図られているものです。

ブルックリン、クィーンズ、ワシントン・ハイツ、マンハッタンのトライベッカという地域、同じ「ニューヨーク」という街の中でも色々な地域があり、そこにはそれぞれ“色”の異なる人たちが住んでいます。

ドミニカ移民が多く生徒の97%が貧困家庭というワシントン・ハイツ。
アジア系移民もたくさんいて、白人も多いいろんな人が住んでるブルックリン。
黒人と白人がメインのトライベッカ。

出場校が60校ほどある中で、このドキュメンタリー映画では、主にこの3校にスポットが当てられて、そのダンス・コンテストまでの過程が描かれています。。

練習するダンスの種類も幅広く、タンゴ、メレンゲキューバなんとか、フォックストロットなどなど。かなり本格的です。しかも、みんな11歳くらいの子どものわりにめちゃくちゃうまい!!!

各校、ダンス・トレーナーの教え方も違っていて、前年優勝校だったクィーンズの先生は、本格的ないわゆるダンス・トレーナー。細かい動きを指摘して、花を髪につけたほうがいいだとか細かなこだわりもあります。前年のトロフィーを目の前にして、「このトロフィーをずっと大事にしていればここにこのトロフィーが残ってくれないかしら」というような発言をしています。子どもよりトロフィー?

一方、ワシントン・ハイツの先生は男性の先生と女性の先生と二人いて、女性の先生はいい人だけど熱血教師。「なんで笑ってるの?!!!」「今の最悪!!!」とか言って、懸命に練習させています。
でも、生徒の将来を一生懸命考えていて、「今はダンスに夢中でもそれが終わった後 犯罪に染まってしまう子もいて・・・」「そうなってはいけないという私の思いを伝えたいけど、どうしたら(真の意味で)伝わるのかしら」と涙ぐんで話します。

トライベッカの先生は、オカマみたいな長身で細身の、日本の社交ダンスの先生にいそうな女っぽい先生。優しく丁寧にダンスを教えます。

ブルックリンのダンスの先生は、一番普通かなぁ。冗談を交えながら楽しくダンスを教えていました。

いろんな子供達がいるのですが、ダンスの場面の合間合間に、恋愛観だとか結婚観だとか、ダンスのパートナーが下手だとか、いろんな話をしてくれます。
それが楽しい。子どものくせにいっちょまえ!!!

特に、ブルックリンのマイケルという名の男の子は、外見はラッパーのJay-Zを白人にして小さくしたみたいな子でかわいいんだけど、でも発言する内容は、ほんとにえらそう。真面目に話しているだけなんだけど。
(しかも、彼は、どっかの映画の主人公みたいにゲームをしながらかっこよく話している。ゲームといっても、ビリヤードではなく、棒がたくさんついていてその棒を上下に動かすボード上のサッカーみたいなゲームだが。そこはかわいいから許す。)
そのマイケル君は、エンドロールで「愛が幸せを生む。大事なことさ。」「二人がお互いを大事にしあって絆で結ばれて・・・」と語った後に、同じく10歳前後の彼の友人達が「So beautiful! So bearutiful!」と叫んでいる。
頭が下がります。


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それから、ワシントン・ハイツの学校のウィルソンという男の子。この写真の男の子です。
英語が話せないんだけど、ダンスのリズムの取り方は天性でしょうか、素晴らしかったですね!!
本当にプロのダンサーを見ているようでした。
そのウィルソン君がダンスしはじめると、同じ学校の友達も「ワーーー!!!」と叫んでいて、こちらも気分が盛り上がってしまいます。英語が話せないので、彼の口から“言葉”や“声”はほとんど聞けなかったのですが、だからこそ逆に、黄褐色の目の色が印象的でした。いい眼をしてましたよ。
あの子は将来どんなgentlemanになるんでしょうね。

ブルックリンの女性の先生だっけ、「彼らがダンスしている姿を見ることがとてもうれしい」と泣きながら、「彼らもladies&gentlemenになっていくのよ」と言ってさらに涙していた場面は私も感動してしまいました。

この映画って、子どもの成長過程を見ているわりには、すごく自分の勉強にもなって、
子どもって、まだ小さくて、何も知らない、何もわからない「子ども」だと思いがちだったんですが、
案外観察力があったり、どこかで学んできたのか、大人よりも立派にたくましくしっかりした考えを持っているもんなんだなぁ、と感じました。
だから、将来自分が子どもを育てるときになったら、決して「子ども」だと馬鹿にしてはいけないなぁ、逆に「こんなことわからないだろう」なんて侮っていてはいけないなぁ、と思いました。

いずれにせよ、この作品、後味もいいし、いい映画でしたよ。
観終わった後、私もダンスできるようになりたい!!と思いました。
日本にもこのプログラム取り入れたほうがいいですよ。
でもダンスって日本人は本能的になじめないものなのかなぁ。

ドキュメンタリーが苦手な方も、すんなり観れる作品だと思います。
子ども達も、小さな大人みたいでかわいくもあり、また彼らから学ぶこともあり、なかなか楽しめます。
おすすめです~~。