リフレッシュの時間

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『潜水服は蝶の夢を見る』

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原題:LE SCAPHANDRE ET LE PAPILLON/THE DIVING BELL AND THE BUTTERFLY
製作年度:2007年 製作国:フランス・アメリカ 上映時間:112分
監督:ジュリアン・シュナーベル  原作:ジャン=ドミニク・ボビー
出演:マチュー・アマルリックエマニュエル・セニエマリ=ジョゼ・クローズアンヌ・コンシニ
    パトリック・シェネ、ニエル・アレストリュプ、オラツ・ロペス・ヘルメンディア
 
【あらすじ】  実話です。
主人公ジャン=ドミニクが目覚めるとそこは病院で、体がすべて麻痺して動かない。
医師が語りかけてくるが、自分は声を発せない。左目以外の全てが動かせなくなっていた。
 
彼は雑誌“ELLE”の編集長で、意識を失うまでは、自由にリッチな暮らしをしていた。
かわいい子どもも3人いて、そのお母さんとは結婚せず、美人な恋人もいた。
 
左目以外何も動かせない自分は、まるで潜水服を着て深い海に潜っているよう。
自由にコミュニケーションしたくても、何も伝わらなくもどかしい。
しかし、言語療法士のアンリエットが、「YESはまばたき1回、NOはまばたき2回」
というルールから、地道にアルファベット→単語→意思を伝える方法を作りだした。
 
彼は、この方法により、この状態になる前に出版を予定した本の執筆に取り掛かった。


【感想】
悲惨な状況の主人公なのに、全く悲観的でなくて湿っぽくもなくて、観ていて感じのいい作品でした。
映像も主人公の左目が見ているのにほぼ忠実に映され、まるで自分が彼の目になったかのようでした。
 
ジャン=ドミニクは初めのうちは嘆きこそすれ、そのうち「自分を憐れむことはやめた」と前向きになっていきます。同時に、冷静に自分を客観的に見つめていて、かつ、それまでの自分と変わらず女好きだったりユーモアがあったり、それらの微妙なバランスがいい塩梅で、この主人公にも、この映画にもとても好感を持てました。
 
こんな状況でも、彼は「自分が麻痺していないのは左目以外にもあるぞ、思い出と空想力だ」と言って、
まばたきで実際に本を執筆したということも驚きです。
この映画自体が彼のその本を原作として制作されていますもんね!
 
普通なら、彼の潜水服の状態だと生きる気力を失ってしまいそうなところなのに、ジャン=ドミニクは凄いと思う。
人間、どんな状況でも気持ちを強く持てばできるもんなんだなぁ!勇気づけられます。
 
彼は出版された10日後に亡くなってしまうけど、なぜか涙ではなくてうれしい気持ちが込み上げました。
それは、彼が、普通では考えられないほどの苦難を乗り越え、
彼の経験や思いをカタチにしこの世に残したという達成感が伝わってきたからだと思います。
いい映画でした!