『レスラー』

原題：THE WRESTLER　　製作年度：2008年　製作国：アメリカ　上映時間：109分
監督：ダーレン・アロノフスキー
出演：ミッキー・ローク、マリサ・トメイ、エヴァン・レイチェル・ウッド

【作品内容】
ミッキー・ローク演じる中年のランディは、80年代に活躍したレスラー。
しかし今では、すっかり落ち目になってしまい、
土日のリングと平日のスーパー勤務で生計を立てている。
家族もおらず独り暮らし。遠くに住む一人娘がいるが、
若い頃に家族を顧みず好き放題したためなのか一切連絡を取り合うこともない。

そんなある日、ランディはリングでの試合の後、突然の心臓発作に倒れてしまう。
心臓の手術を受けたランディは、レスラー引退を余儀なくされてしまった。
これを機に、ランディはレスラー以外を切り捨ててきた自分の人生を清算するかのように
今まで顧みなかった家族のことや新しい家庭を築くことなど試行錯誤してみたが、
結局、自分に残された道はレスラーとしての道しかないという決意に至ってしまう・・・。

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【感想】
主演のミッキー・ロークがよかった！
ミッキー・ロークは、“シン・シティ”で醜いヒーローを演じていた時には気づかなかったけど、
実は、実力派の俳優なんですね。ミッキー・ロークの魅力を見せつけられた気がしました。
どこか寂しさを醸し出し作品中は笑うことも少なかったランディですが、
ミッキー・ロークの好演で印象深い魅力的な人物に見えました。
ストリッパー役のマリサ・トメイもよかったです。複雑な心境を抱える女性役でした。

作品自体も非常に良かったと思います。
試合のシーンは、本物のプロレスさながらで、有刺鉄線などを使った流血の試合もありました。
観客を喜ばすために体を張って痛みに耐える姿などは、見ていられませんでしたが、
どのシーンもランディという人物をありのままに語っていて良かったです。
特に最後のシーン、ランディがリングの柱からジャンプする姿は、彼の人生そのままを映しているようで、
鮮明に記憶に残りました。

私はまだランディぐらいに人生を謳歌していないから真の意味では共感できていない部分はあるだろうけど、
ランディの心理はよくわかったし、きっと長い人生、ランディのような気持ちになる時が来るんだろうなと感じ、
ランディの存在を身近に感じました。ランディの選んだ選択肢はあまりに過酷だけど、それがランディ自身であり、観終わった後は切なかったです。